加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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ある信用調査会社のトホホな話

 

 筆者はこうした執筆活動のほかに、会社をいくつか経営しているのですが、会社には信用調査会社から電話がかかってくることが時々あります(メールや郵便ではなく電話です)。先日は深いため息が出るような出来事に遭遇してしまいました。

ネットを見ずに古い電話番号を頼りに信用調査?
 基本的に筆者は、人海戦術に頼る日本の信用調査会社というものをあまり評価していません。かつて、財務状況の調査依頼があったからという理由でヒアリングを受けたことがあったのですが、担当者のあまりの会計知識のなさに閉口して以来、基本的にやり取りをお断りしています。

 会計知識のほとんどない担当者がまとめる調査レポートを読んだ取引先がまともな判断が出来るとは思えませんし、そのレベルの調査会社を使わなければ取引できないというのであれば、こちらとしても大して利益になる顧客とは思えません。

 ということで調査会社から連絡があっても基本的に無視していたのですが、そのうち会社が移転したことで、会社の代表電話番号も変わり、調査会社からの電話もかかってこなくなりました。

 かつての古い代表番号は、現在はある社員の個人用電話になっていてボイスメッセージになっているですが、何と先日、調査会社から古い代表の電話番号に調査の電話がかかってきました。

 新しい会社の代表電話番号はWebサイトにも掲載されており、ネットで調べればすぐに分かります。おそらく調査会社はそんな基本的な作業すらやっていないのです。
 5年も前の古い代表電話に突然電話をかけてきて、調査のヒアリングをさせろとメッセージを残しています。

 あまりの時代錯誤的なふるまいに、最初は呆れ返っていたのですが、しばらくすると、少し陰鬱な気持ちになってきました。

 ロボット化やビッグデータ、人工知能と叫ばれているこのご時世に、ネットすら確認せず、自社が保有している古い電話番号のリストを見て、ただ電話をかけまくるという、こんなことを何の疑問もなくやっている人たちがまだいるのです。

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日本のサービス業の生産性が低い理由

 日本がまだ貧しく、ムラ社会的な共同体が色濃く残っていた時代には、こうした電話や対面を使った信用調査にも意味があったでしょう。しかし時代はとっくに変わっています。

 ビッグデータや人工知能の発達は、企業の信用調査やリスク管理を根本的に変える可能性があるともいわれています。すでに米国などでは、属人的な調査には頼らず、マクロ的なデータの分析で、企業の倒産確率などを割り出すシステムがかなり普及しています。

 ここに人工知能の技術が加わると、ソーシャルメディアなどの情報も利用できるようになり、多角的な判断を行うことによって、人間のカンを越えた調査が可能になるといわれています。

 しかし、その一方で、古い電話番号のリストを頼りに、ただ電話をかけまくって信用調査を行う会社がまだ存在しているわけです。
 米国などでこのようなことをやっていたら、その調査会社はたちまちつぶれてしまうでしょう。しかし、日本ではそれなりの規模で存続し続けることができるのです。

 それは、今まで取引があったから、いろいろとしがらみがあるから、という理由で、サービスのパフォーマンスとは関係なく、取引が継続する商習慣がいまだに主流になっているからと考えられます。

 日本が鎖国して、自給自足の貧しい暮らしをするというのなら話は別ですが、日本は多くの製品やサービスを輸入したり輸出しなければ経済を支えることができません。世界的なビジネスの動きと無関係ではいられないのです。

 日本のサービス業の生産性は、極めて低いことが知られていますが、こうした旧態依然の仕事の仕方がまかり通っているのだとすると、それもうなずける話です。こんなことで日本の将来は本当に大丈夫なのでしょうか?

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