人手不足を根本的に解消することは困難

 日本が人手不足に陥っていることは多くの人が認識していると思います。しかし人手不足の本質について理解している人はそれほど多くないでしょう。ここでは人手不足のキホンについて説明したと思います。

若年層は過去20年間で3割も減った

 人手不足の根本的な原因は、人口減少に伴う人口構成の変化です。図は日本における15歳以上の人口推移と人口構成の変化ついて示したグラフです。

 日本は人口が減っているといわれていますが、本当に人口が減り始めるのはこれからで、過去20年間は微増もしくは横ばいという状況でした。しかし、人口減少は少子化が原因であり、少子高齢化はかなり前から進んでいましたから、総人口は横ばいでも人口構成は大きく変化しています。

 1997年と2017年を比較すると、15歳以上、30歳未満の若年層人口は約32%も減少しました。一方で65歳以上の高齢者人口は79%も増加しています。この間、総人口はあまり変わっていませんから、経済全体の総需要もほとんど変化していません(高齢者の消費は現役時代と比較すると落ちますが、基本的な衣食住への支出はそれほど変わらないのが普通です)。

 需要が変化しないのに、それを満たす製品やサービスの提供に従事できる人員は減っていますから、当然の結果として人手不足が進行することになります。

 特に外食産業や小売店など、若い従業員をたくさん必要とする業界で人手不足が顕在化したのは、若年層人口の減り方が激しかったからです。しかし、今後はあらゆる業種で人手が足りないという状況になってくるでしょう。

人手不足

人手不足は今後も続く可能性が高い

 日本はこれから人口が減ってきますから、需要も減ってバランスが取れるのではないかと思った人も多いでしょう。確かにその通りなのですが、人口構成が正常化するまでには、かなりの時間がかかります。

 グラフでは2025年と2050年の人口予測についても記載していますが、確かに総人口は減るのですが、高齢化には歯止めがかかっていません。というよりもむしろ、2050年の方が状況はさらに悪化しており、若年層の割合は14%しかいなくなります。

 つまり人手不足は今後、かなりの期間継続する可能性が高いということになります。状況を根本的に変えるためには、移民を受け入れるか、徹底的に社会のAI(人工知能)化を進める必要があります。どちらを選択した場合でも、雇用の流動化は避けられないでしょう。

 もし日本人が現状の雇用環境の維持を望んだ場合、人手不足に対する有効な手立ては打てない可能性が高まってきます。これは非常に困った問題といってよいでしょう。