メガバンク3行がQRコードを使った決済サービスに乗り出す背景

 三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク3行が、「QRコード」を使った共通決済システムの導入を検討しています。メガバンクにはどのような狙いがあるのでしょうか。

QRコードは電子決済普及の起爆剤

 国内では、Suicaや楽天Edyなど各種の電子マネーが存在しており、2017年における決済額は5兆円を突破しました。しかしながら、日本は希に見る現金大国として知られており、日々の決済の半分以上が依然として現金で行われています。クレジットカードの決済額(2016年は54兆円)と比較しても、電子マネーはかなり小さい市場といってよいでしょう。

 一方、諸外国では電子マネーが急速に拡大しており、街中から現金が消滅しつつあります。

 特に中国では2次元バーコード(いわゆるQRコード)を使った決済が一般的ですが、QRコードを使った決済は、スマホをかざすさけで決済が可能であり、しかも店舗側の負担が少ないという特徴があります。このため、QRコードを使った決済システムは、日本における電子マネー普及の起爆剤になると期待されています。

 中国の決済サービス「アリペイ」が日本進出を準備しているほか、NTTドコモなど国内勢もQRコードを使った決済サービスに乗り出そうとしています。
 メガバンク各行も、独自にQRコードを使った決済システムの構築を計画していましたが、一連の動きを受け、統一規格の策定に乗り出したわけです。

 各種電子マネーや海外勢がひしめく中、銀行が統一規格策定に乗り出した背景には、キャッシュレス社会への移行で主導権を握りたいとの思惑があります。決済アプリでメジャーな存在となることができれば、顧客の囲い込みにつながります。

 各行はライバルではありますが、それ以前の問題として、電子マネー企業など、他の業種に顧客データを奪われることは何としても避けたいでしょう。銀行の知名度やインフラをバックに統一規格を策定すれば、決済において一定のシェアを確保できる可能性が高まります。

 実はコスト削減の効果が大きい?

 もうひとつの狙いはコスト削減でしょう。

 現在、日本国内には約20万台のATMが稼働しており、これを維持するために銀行は多額のコストをかけています。現金の需要を満たすため、店舗やATMには常に一定の現金を確保する必要があり、これも店舗コストを押し上げている状況です。

 銀行は低金利による収益の低下に苦しんでおり、大規模な人員削減を計画しているほか、店舗網やATM網の削減についても検討を進めているといわれます。

 顧客の決済が電子マネーに移行すれば、一連のインフラが不要となりますから、銀行の設備投資負担も軽減するわけです。

 銀行は経営難という切羽詰まった状況にありますから、電子マネーの普及には力を入れることでしょう。これまで現金一辺倒だった日本の商習慣も大きく変わる可能性が出てきました。