PERの具体的な使い方

加谷珪一の投資教室 第12回

 前回はPER(株価収益率)について解説しました。今回はPERの具体的な使い方を説明したいと思います。

 おらさいになりますが、PERは株価を1株あたりの利益(EPS)で割って算出されます。例えば、ある銘柄の株価が1000円、EPSが50円だとすると、PERは1000円÷50円で20倍ということになるわけです。
 1年間で得られる利益の20倍の値段がついているわけですから、株価というのは、今後20年分の利益を先取りしているという意味になります。

 今の例は、ひとつの銘柄についてですが、日本に上場しているすべての銘柄にこの考え方をあてはめれば、日本全体の株価水準を評価することができます。

 例えば、日経平均採用銘柄の平均EPSは1100円、日経平均株価が1万8000円だった場合、PERは16.4倍と計算されます。つまり株式市場全体としては16年先の利益まで織り込んでいるわけです。

 ちなみにPERの値は、常に一定というわけではなく、市場環境によって変化していきます。例えば、これからどんどん好景気になり、企業の利益が拡大すると皆が考えれば、20年分、30年分の利益を織り込み、PERも20倍、30倍という数字になるかもしれません。

 一方、市場の環境が大きく変わらなければ、当分の間、今のPERが継続すると考えるのが自然です。もしそうだとすると、来期以降のEPS予想にPERの数字を当てはめ、理論的な株価を逆算できることになります。

 メディアでは、来期における市場全体の業績見通がよく報道されますが、こうした情報を利用することで、来期における理論的な株価を予想できるのです。



 

  先ほどの例では日経平均のEPSが1100円でしたが、来期のEPS予想が1300円だったとします。市場環境が変わっていなければ、PERはほとんど同じになりますから16.4倍という数字を、そのまま適用することが可能です。

 EPS1300円に16.4倍をかけると株価は2万1320円となり、利益の増加分だけ株価は値上がりが期待できます。株価が現時点においてそこまで上がっていなければ「買い」と判断できるでしょう。

 しかしながら、PERは状況によって変化します。この先、景気が拡大すると皆が思えばPERが上昇し、株価はさらに値上がりします。一方、景気が悪くなるというコンセンサスが出来上がった場合、PERも小さくなりますから、利益の減少分よりもさらに株価が下がります。

 PERは数年単位ではあまり変わりませんが、10年単位ではかなりの幅で動きます。バブル経済当時のPERは70を超えていました(東証全銘柄の単純平均株価ベース)から、現在のPERにだけ固執するのは考え物です。

 また、PERは利益が減ってしまうと、過剰に高く計算されてしまうという特徴がありますから、極端な不景気の時には有効なツールにはなり得ません。PERを使いこなすには、PERの特徴をうまく生かすことが大事です。

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