加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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トランプ減税はとりあえず公約通りの中身。GDPを1%、株価を2割程度押し上げか?

 

 トランプ政権の目玉政策とされながら、詳細が明らかにされていなかった税制改革プランが4月26日、ようやく公表されました。
 減税規模(総額)は依然としてはっきりしていませんし、議会との調整という難題が残っていますが、トランプ氏が主張していた内容が概ね盛り込まれまたことで、市場には安心感が広がっています。
 もしプラン通りに減税が実施された場合、筆者の試算によると、米国のGDP(国内総生産)を1%程度、株価を2割ほど押し上げる効果が見込めそうです。

法人税と所得税の減税でGDP1%の押し上げ効果
 税制改革プランは、主に法人税改革と所得税改革の2つで構成されています。法人税改革ではこれまで35%だった連邦法人税率を15%まで引き下げます。共和党内には20%が妥当という議論もあったようですが、トランプ氏は一貫して15%を主張。最終的にはトランプ氏が押し切ったようです。

 個人の所得税については、最高税率を39.6%から35%に引き下げるとともに、これまで7段階だった税率を簡素化し、10%、25%、35%の3段階とします。
 これに加えて基礎控除の引き上げと相続税の見直し、さらにはキャピタルゲイン課税の引き下げなども実施される予定です。基礎控除の引き上げは主に中間層以下を、相続税とキャピタルゲイン課税については富裕層への減税を狙ったものと考えてよいでしょう。

 これらの施策は基本的にトランプ氏が主張してきた内容に沿ったものです。税制に関するトランプ氏の公約は、概ね反映されたとみて差し支えありません。
 では一連の施策が実行に移された場合、経済にはどのような影響があるのでしょうか。

 法人税については、減税によって企業の手元資金が増えることになり、これが最終的には消費や投資の拡大につながります。企業の税引き前利益が変わらず、消費性向が約50%と仮定すると、筆者の試算では法人減税によってGDPは約0.5%ほど押し上げられます。

 所得税については仕組みがかなり複雑ですが、10年間で約2兆ドルという試算も出ているようです。これを前提にすると所得税減税でさらに0.5%程度、GDPが上乗せされる可能性があります。最終的にはプラス1%の増加ですので、米国の景気をさらに後押しすることになるでしょう。

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議会との交渉で減税規模が縮小となる可能性も
 今回の減税は株価にとってもプラスの材料となります。経済成長に伴って利益成長が見込めますし、法人減税はそのまま企業の利益増加につながり、株価の上昇要因となります。
 
 もし15%までの引き下げが実現した場合、米国企業の当期利益は2割ほど増える可能性があるでしょう。PER(株価収益率)が同じ水準で推移した場合、株価は2割ほど上昇する余地があるわけです。景気拡大による利益成長が加わりますから、上昇幅はさらに大きくなるかもしれません。

 リスク要因として考えられるのは、やはり政策の実現可能性です。当初は減税の実施そのものが危ぶまれていましたから、とりあえず税制改革プランが出てきたことは大きな安心材料といってよいでしょう。
 ただ、この規模の減税ということになると、国債の増発は避けて通れません。議会の財政規律派が、財源が確保できる範囲まで減額を要求してくることも考えられます。

 ムニューシン財務長官が減税規模の総額について言及しなかったのは、議会との調整が難航すると考えているからです。場合によっては法人税が15%から20%に戻されるなど、減税規模の縮小が行われるかもしれません。

 その意味で過度な期待は禁物ですが、とりあえず税制改革にメドをつけたことは大きな収穫といえます。トランプ氏の経済運営に対するリスクが軽減されたことは確かでしょう。

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