加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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2016年1~3月期GDP。日本経済はいよいよ八方塞がりの状況

 

 内閣府が2016年1~3月期のGDP(国内総生産)速報値を発表しました。物価の影響を除いた実質でプラス0.4%、年率換算ではプラス1.7%とプラス転換しましたが、多くはうるう年の影響です。実質的には成長はゼロと考えた方がよいでしょう。

 日本経済は、屋台骨である消費の低迷が深刻となっており、企業も設備投資に対して極めて消極的です。大規模な財政出動をしようにも、内外の環境から動きが封じ込められています。いよいよ日本経済は八方塞がりの状況に陥ってしまったようです。

うるう年の影響を除くと基本的にゼロ成長
 このところ国内の個人消費が激しく落ち込んでいることから、GDPにおける個人消費も低迷が懸念されていました。結果はプラス0.5%でしたが、前期がマイナス0.8%という大幅な落ち込みだったことを考えると十分な数字とはいえないでしょう。
 また今年はうるう年ですから、1日分の経済活動が上乗せされています。年率換算では1%ほどゲタが履かされることになりますから、実質的には横ばいに近い状況です。

 企業も設備投資に対して消極的です。全世界的に成長鈍化が懸念されていますから、海外への投資も抑制されることになります。GDPにおける設備投資はマイナス1.4%となり、これが全体の足を引っ張りました。

 これまで日本経済は、企業の設備投資が回復しないものの、積極的な財政出動によって景気を維持してきました。消費がそれほど落ち込んでいなかったので、何とか数字を保つことができたわけです。

 しかし、最近、個人消費の落ち込みが顕著となっており、この影響がGDPにも波及するようになってきました。個人消費はGDPの6割を占める屋台骨です。個人消費の中には生活必需品が含まれますから、多少、生活が苦しくても、人はこうした支出をすぐには減らしません。
 しかし、本当に生活が苦しくなると、こうした部分を削減するようになり、一度、そうなってしまうと、それは山が動くように経済を直撃してしまいます。

 もし、今後も消費の低迷が続くようであれば、来期以降のGDPについても、かなりの影響が出てくることが懸念されます。
 消費が弱いということになると、当然、需要が減るということになりますから、企業は設備投資に対してさらに消極的になるでしょう。個人消費の悪化→企業マインドの低下→設備投資の減少→個人消費のさらなる低下、という悪循環に陥る可能性があるわけです。

gdp201613

財政出動を模索したものの、各国から逆風が・・・
 19日には設備投資の先行指標となる機械受注統計が発表されました。4~6月期の見通しは、主要指標である「船舶・電力を除く民需」(季節調整済み)がマイナス3.5%でした。受注総額でもマイナス1.2%です。
 機械受注の数字とGDPの数字には乖離がありますが、少なくとも企業が設備投資に対してかなり消極的になっていることだけは間違いありません。

 消費が弱く、設備投資も消極的ということになると、市場では政府の景気対策が意識されることになります。官邸では大規模な財政出動を模索していたようですが、現実的にはかなり難しそうです。

 ここで財政出動を強化すれば、これまで政府が掲げてきた財政再建目標からさらに後退してしまうということもあるのですが、最大の問題は、先進各国が日本の財政出動に厳しい視線を向け始めているからです。

 安倍首相はゴールデンウィークにドイツや英国を訪問し、伊勢志摩サミットにおいて各国が協調して財政出動を行うよう説得を試みました。
 しかし、ドイツのメルケル首相はゼロ回答に終始するなど、日本側の意向はほとんど受け入れられませんでした。サミットでは玉虫色の決着となる可能性が高く、各国強調による大規模な財政出動というシナリオはほぼなくなった状況にあります。
 日本は先進国の中でも突出した財政赤字をかかえており、このような国が、積極財政を主張するというのは、やはり無理があったようです。

 かつて日本は莫大な金額の公共事業を繰り返しましたものの、デフレから脱却できず、期待された金融政策も思うような効果を発揮できませんでした。

 まさに八方塞がりの状況であり、当面は消費税をスキップするくらいしか手の打ちようがありません。しかし消費税のスキップも、長期的には財政問題を悪化させる要因であり、大きな効果は見込めないでしょう。

 日本経済を停滞させている本当の原因は何なのか。これまで皆が避けてきたテーマですが、いよいよ正面から向き合わざるを得ない状況となってきました。

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