加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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メガバンクで進む人工知能の導入。インパクトは?

 

 メガバンクで人工知能を活用する動きが本格化しています。正確性が要求される銀行での導入が成功すれば、人工知能の普及が一気に進む可能性も出てきました。

人工知能は自分で学ぶので教えなくてよい
 国内の3メガバンクが導入を検討しているのは、いずれも米IBM社製の人工知能「ワトソン」です。
 IBMは人工知能の開発に力を入れており、1997年には同社の人工知能「ディープ・ブルー」がチェスの世界チャンピオンを破ったとして話題になりました。ワトソンは、このディープ・ブルーの後継機で、現実の業務への導入を想定して開発されたものです。

 三井住友銀行では、ワトソンをコールセンター部門に導入する計画を発表しています。同行は昨年からワトソンに関するテストを行っており、さまざまな状況において適切な回答ができるのかを検証してきました。十分に実用に耐えると判断されたことから、今年中にコールセンターへの本格導入を目指します。

 みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行も同じくワトソンの導入を進めており、順調にいけば、3メガバンクのすべてにおいて人工知能によるサービスが始まることになるわけです。

 人工知能の最大の特徴はその高度な自己学習機能にあります。従来のコンピュータと異なり、プログラムという形で外部から「教育」されなくても、自ら学習して精度を上げていくので、顧客の曖昧な質問に対しても、適切な回答を導き出すことができるようになります。

 銀行のコールセンターは正確性が要求されますから、銀行のサービスに関する情報を一旦は体系的に入力していると考えられます。しかし、本来、人工知能が持つ自己学習機能をフル活用すれば、そもそも自社サービスに関する情報を体系的にコンピュータに教える必要はありません。

 会社のパンフレットや製品のマニュアル、サービス案内といった書類を整理せずにコンピュータに放り込めば、人工知能がこれを体系化し、自動的にデータベースを作成することも可能となるわけです。

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本当に人が要らなくなるかも
 もしこうした人工知能がオフィスに普及してくると、ちょっとした革命をもたらします。例えば、今までは、業務を標準化するために、膨大な手間をかけてマニュアル化などを行っていました。
 しかし人工知能がシステムに入れば、担当者のメールのやり取りや作成したドキュメントを分析し、自動的にマニュアルを作成してしまいます。

 さらには、初めて入社した人には、仕事をどのように進めればよいのか、懇切提携に人工知能が説明してくれるようになるでしょう。また人工知能が業務をチェックしながら、進捗が遅い人や、営業が下手な人に対しては、どのような電話を顧客にかければよいか、電子メールの書き方はどのようにすればよいか指導するようになるはずです。

 そうなってくると、人間はスキルの有無に関係なく誰でもよいということになってしまいます。これまでベテランだけが持っていた知見というものがありましたが、これが無意味になってしまうのです。
 顧客があまり望まないのでなかなか実現しないでしょうが、対面で会う必要がなければ、担当者が人である必要もなくなるかもしれません。

 三井住友銀行のサービスは、今のところ、オペレーターが電話を受け、質問内容をオペレーターがテキストで入力しますから、一旦は人間が介在することになります。
 しかし、みずほ銀行のサービスは直接、顧客と人工知能が対話することも念頭に置いているといわれており、十分実用レベルに達しているそうです。これはまさに人の代わりということになります。

 メガバンクでの実績が積み重ねられれば、他業種への導入は一気にハードルが下がることになるでしょう。これまでのITシステムと同様、現在は高価でも一気に価格が安くなるはずです。これまで説明した内容は近未来の話ではなく、数年後というレベルなのです。

 日本では政府による規制という大きなカベがありますが、米国では、米国ではすでにロボット医師、ロボット薬剤師が登場しています。飛行機の操縦やバスの運転も技術的にはすべて人工知能(ロボット)で代替可能です。

 オックスフォード大学が行った調査研究では、現在、存在している仕事の約半数がロボットに置き換えられるとの予測も出ています。人の仕事がもたらす価値とは何なのか、そろそろ根本的に問い直す必要があるかもしれません。

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