加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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ネット・ビジネスがもたらすインパクトはこれからが本番

 

 米国ではネット・ビジネスが新しい次元に突入しているようです。スマホをベースにした、既存事業の「中抜き」が一気に進んでいるのです。
 ひょっとすると、インターネットが登場した時よりも、はるかに大きなインパクトをビジネスの世界に与えることになるかもしれません。

スマホの普及で従来の仲介業務は不要に
 インターネットが登場した直後、商社や問屋といった仲介を主な事業とする会社は存在が難しくなるといわれていました。しかし現実には、モノやサービスのやり取りを仲介する事業者はそれほど大きな影響を受けていません。

 しかしスマホの普及によって状況が大きく変わってきました。米国では、既存の事業を「中抜き」する、新しいネット・ビジネスが次々に登場しており、数年後には世の中を風景をすっかり変えてしまう可能性が出てきているのです。

 中抜きビジネスとして代表的なのはタクシー配車サービスのウーバー(UBER)でしょう。ウーバーはスマホを使って近くにいるタクシーを呼び出せるサービスなのですが、これが世界各地に急速な勢いで拡大しています。

 ウーバーのサービスには、既存のタクシーを配車するというものもあるのですが、国によっては、一般人が自身の車を使ってタクシーのサービスを提供する廉価版サービス仲介も行っています。

 これが普及してしまうと、誰でも車があればタクシーが出来てしまいますから、既存のタクシー業界にとっては大問題です。フランスなどではタクシーの運転手が抗議のデモを行う事態に発展しました。

 もうひとつ、既存の産業に極めて大きなインパクトを与えると予想されているのが、銀行業務の「中抜き」です。お金を借りたい人と貸したい人をネット上で仲介しようという、野心的なビジネスモデルを掲げているのはレンディング・クラブという会社です。

 同社は昨年12月、ニューヨーク株式市場に上場し、大きな話題となりました。本格的にこのサービスが普及することになれば、銀行の融資業務に対する影響は極めて大きいでしょう。

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宅配業者すら要らなくなる?
 ここまでは何となく、想像ができる範囲なのですが、次に紹介する企業には結構、驚かされます。米国では、荷物を送りたい人と、ある地域に旅行する予定がある人を仲介するビジネスが軌道に乗り始めているのです。

 Roadieは、スマホで旅行者と荷物配送の依頼主をマッチングして、手数料を徴収します。日本にあてはめれば、東京から大阪に出張する人が、荷物を大阪に送りたい人から依頼を受け、手数料を受け取って、出張のついでに配送先に届けるという仕組みです。

 これは、参加者が増えれば増えるほど、自分が送りたい地域に荷物を届けてくれる人が増えてくるので、サービス普及に弾みがつくことになります。スマホ時代ならではの新サービスといってよいでしょう。

 日本では、米国ほどこうしたサービスは盛り上がりを見せていません。国から認定された業者が行うべきだという意識が強く、個人がそれぞれに、サービスを依頼するというやり方には抵抗があるという人が多いのかもしれません。

 おそらくその背後には、こうした中抜きビジネスが活発になると、多くの仕事が失われるのではないかという恐怖心があるのだと考えられます。確かに、こうした新しいビジネスは既存の非効率なビジネスを駆逐してしまう可能性があります。

 その当事者にとっては望ましくない状況といえるかもしれませんが、一方で、多くのビジネスチャンスも同時に生まれているわけです。
 トータルすると、より多くの仕事が社会に提供され、その国民は豊かな生活を送ることができるはずです。新しい技術やサービスの登場に対しては、基本的に前向きな発想で取り組むことが重要でしょう。

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