加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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陰謀論への支持と年収の関係から見えてくること

 

 「しらべぇ」というインターネットのサイトに、陰謀論に関する興味深い調査結果が掲載されていました。それは低年収の人ほど、陰謀論を信じている割合が高いというものです。

1000万円を超えると何故か陰謀論を信じなくなる
 世の中には陰謀論と呼ばれるものがあります。それは、経済の動きや政治の動きなどに対して「裏で誰かが暗躍している」「すべては筋書きが出来ている」とする考え方です。

 しらべぇでは、全国の20代から60代の男女約1400人に、「世の中には大きな組織による陰謀が実際にうずまいており、それが社会を動かしていると思いますか?」と質問したところ、約6割の人がそう思うと回答したそうです。つまり6割の人が何らかの陰謀論を信じているわけです。

 さらに年収別では、300万円未満の人は61.8%、300~500万円未満の人は61.2%、500~700万円未満の人は54.2%、700~1000万円未満の人では57.0%、1000万円以上では40.4%の人がそう思うと回答しています。

 確かに、年収が低いほど、陰謀論を信じる傾向が強くなっているのですが、その分布には特徴があります。年収に比例しているというよりも、1000万円以上の人とそうでない人で、くっきりと傾向が分かれています。つまり、年収が1000万円を超えると、急に陰謀論を信じなくなるというわけです。

 陰謀論がウソなのか本当なのかについて、完璧な意味で白黒をつけるのは、原理的に不可能です。陰謀論の立場に立つ人は、陰謀論を否定する行為が、陰謀論の一環であると主張しているからです。

 筆者は、ジャーナリスト出身ですし、金融やコンサルティングの世界に長く身を置いてきましたから、日本の政治や経済の中枢部分にもある程度、知見があります。
 その結果として言えることは、いわゆる陰謀論的な話はほとんどがウソなのですが、中には完全にウソとは言い切れないものがあるごく少数含まれているといったところになります。

 端から見ると、何やら政治的な思惑がたくさんありそうな話でも、実は、中央官庁内部で幹部職員が「俺の責任になったら、天下り先のランクが落ちるじゃないか!」といったレベルのゴタゴタだったというケースは多いのです。
 株式市場においても、何やら欧米の投資銀行が相当な画策をしていると噂された銘柄も、フタを開けてみれば、単なる提灯筋の動きだったということもよくあります。

 ということなので、世の中で流通する陰謀論の多くは、現状に対する不満によって引き起こされたものと考えてよいでしょう。そうだとすると1000万円を境に陰謀論に対する意識が大きく変わっているわけですから、この金額は精神的な部分でひとつの境目になっているわけです。

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年収1000万円の多くは準公務員的な人
 現状の日本において、年収1000万円を超えている人というのは、わずか180万人しかいません。給与所得者は約4500万人ですから、働いている人の4%ということになります。

 日本は米国などと異なり、ベンチャー企業などに代表されるような自由なビジネスはあまり活発ではありません。高い給料を得ている人の多くが、銀行や商社、政府系企業といった大企業の管理職、中央官庁の幹部公務員、医師、弁護士など、何らかの形で政府の保護や規制の影響を受けている業種に属しています。

 これらの人々は、いわゆる学歴エリートであり、本当の意味での自由マーケットで年収1000万円以上を得ているというのはごくわずかでしょう。

 そうなってくると、日本の場合、年収1000万円以上の人の多くが、公務員もしくは準公務員的な人ということになります。同じ調査では、職業別のデータも出ているのですが、公務員で陰謀論を信じる人の割合が突出して低いという結果です。

 公務員は国の税金で高い給料と終身雇用、そして、公務員専用の手厚い年金が保証されています。当たり前のことですが、こうした人たちが、国にはウラの勢力がいて、自分達はダマされているなどと考えるわけがありません。年収1000万円以上という人に公務員的な人が多いという現状を考えると、彼等が陰謀論を信じないのは当たり前の結果といってよいでしょう。

 筆者は陰謀論を支持しているわけではありませんが、年収1000万円以上の人で、陰謀論を信じる人がもっと増えるくらいでなければ、日本の経済は活性化しないような気がします。
 世の中でお金を持っているの人の多くが、堅実さだけが取り柄の公務員的な人ばかりというのでは、経済は停滞して当たり前です。

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