経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

  1. ビジネス

大塚家具が中国企業と資本提携した背景

 経営再建中の大塚家具が、中国の投資家グループなどから数十億円の出資を受け入れることになりました。大塚家具の商品と中国の顧客層の相性は良好ですが、これが再生の決め手となるのかはまだ何とも言えません。

中国の家具販売店と戦略提携

 大塚家具は、創業者である大塚勝久氏が一代で築き上げた企業です。店員が顧客に付きっきりで対応する接客が評判となり急成長しましたが、2009年の赤字転落をきっかけに勝久氏は引責辞任。代わりにトップの立ったのが娘の久美子氏でした。

 久美子氏は、従来の路線を見直し、顧客の間口を広げる新しい戦略を打ち出しましたが、経営方針をめぐって勝久氏と久美子氏が対立。双方が解任を画策するという親子バトルに発展したことは記憶に新しいと思います。

 最終的には久美子氏が経営権を掌握し、会員制を事実上廃止するとともに、「お詫びセール」を展開しましたが、業績は悪化する一方という状況でした。

 2018年12月期の決算は、売上高が前年比9%減の373億8800万円、当期純利益は32億4000万円の赤字となっており、今後の事業の継続性について市場は疑問視している状況です。

 こうした中、同社は昨年12月、中国全土で200店舗以上を運営する家具販売大手「北京居然之家(イージーホーム)」との業務提携を発表しました。大塚家具はイージーホームとの提携で、中国市場への進出を目指します。

大塚家具ホームページより

大塚家具ホームページより

大塚家具の商品は中国市場と相性がよい?

 この提携を背景に、同社は合計38億円の第三者割当増資の実施を決定。越境ECサービスなどを手がける企業や、米国の投資ファンドなど、日米中の投資家グループが増資に応じることになりました。増資が完了すれば、とりあえず目先の財務的な問題は解消されますから、今後の事業戦略に集中することができます。

 大塚家具は高級家具の販売店とイメージしている人が多いかもしれませんが、実態は異なります。同社は、高級家具と低価格な家具の間に位置する中級家具を得意としてきました。最先端ではなく、少々落ち着いたデザインの商品も多く、顧客の年齢層も高めです。見る人によっては少し古くさいイメージがあるかもしれません。

 しかし、こうした同社の商品ラインナップは、これから成長する中国市場にとってはぴったりと考えてよいでしょう。財務的なメドが付いた今、市場の関心は、今後の同社の中国戦略に移りつつあります。しかしながらイージーホームの実力は未知数であり、中国市場で本格的な展開が可能なのかは、現時点では何とも言えないのが正直なところです。

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