飛行機のオーバーブッキングで便そのものが欠航するという前代未聞のトラブルが発生しました。オーバーブッキングというのは、いったいどのようなものなのでしょうか。
キャンセルを見越して多めに予約を取っておく
2018年11月21日、羽田空港を出発するはずだった日本航空の福岡行きの最終便が「オーバーブッキング」によって欠航となりました。オーバーブッキングというのは、飛行機の座席の数以上に予約を受け付けてしまい、一部の乗客が飛行機に乗れなくなる状態のことを指します。
座席の数を超えて予約を受け付けることについて「とんでもない」と考える人もいるのですが、航空業界ではごく日常的なことであり、規約上もまったく問題ありません。
飛行機は事前に予約した上で搭乗する仕組みですが、一定数の乗客が、事前にキャンセルの連絡をすることなく、当日、空港にも現れません。これを業界ではノーショーと呼んでいますが、このノーショーが発生すると、その分の座席を空席で飛ばさなければなりません。
これでは航空会社は機会損失となりますし、何よりその便に乗ることを希望していた他の乗客が搭乗の機会を奪われてしまいます。したがって航空会社は、発生するキャンセルを見越して、座席の数以上の予約を受け付けておくわけです。
過去の経験から何席が空席となるのかは、かなり正確に予想できるのですが、キャンセルする顧客が想定よりも少なかった場合、何人かの顧客が飛行機に乗れないという事態が発生します。これがオーバーブッキングです。
通常は、お金を払って別の便に乗り換えてもらうといった交渉を行いますが、今回はそうした調整ができず、何と便そのものを欠航にしてしまいました。
飛行機を降りてもらう客に対しては、相当の金額を支払っても、便そのものを欠航にするよりは損失が少ないはずですが、なぜか同社は欠航という選択をしたわけです。
日本の航空会社はオーバーブッキングが少ないという特徴があったが・・・
同便の目的地である福岡には時間制限があり、調整に費やせる時間が確保できなかったことが最大の原因と思われますが、それだけではなさそうです。今回、オーバーブッキングした乗客の数は26名に達しており、これは過去の実績からするとかなり多い数字です。予約の受付などで何らかのトラブルがあったのかもしれません。
日本の航空会社は海外の航空会社と比べてオーバーブッキングが少ないという特徴がありました。しかし、これは日本の航空運賃が国際標準と比較して突出して高いということと表裏一体です。日本の航空会社はガラパゴスの典型と言われていますが、今後、日本の航空会社のグローバル化が進んだ場合には、運賃が安くなる代わりに、オーバーブッキングも増える可能性があります。
一方、グローバル化があまり進まなかった場合には、オーバーブッキングに遭遇する可能性も低いままですが、移動には、相変わらず多額のコストがかかります。
確かにオーバーブッキングに当たってしまうと乗客としては非常に困ったことになりますが、確率的にはごくわずかです。それよりは安い運賃であちこち旅行できた方がよいと考える人が多いのではないかと思いますが、皆さんはいかがでしょうか。