お金持ちを科学する 第21回
お金持ちを目指すにあたって絶対に忘れてはならない現象のひとつにバブルがあります。世間一般では、バブルは良くないこととされているため、あまり語られないのですが、大きな資産を形成をした人の多くが何らかの形でバブルを利用しています。
バブルは10年に1度やってくる
バブルなどそうそうやってこないと思っている人も多いのですが、実はそうでもありません。資本主義が全世界に拡大している現代では、常に世界のあちこちでバブルが起こっています。
近年のバブルでは、1980年代のバブル経済がもっとも顕著でしたが、その後も、2000年前後のネットバブル、2007年にかけての米国不動産バブル、つい最近の仮想通貨バブルなど、10年ごとにバブルが発生していることが分かります。さらに歴史を遡ると、1600年代にオランダで発生したチューリップ・バブルを皮切りに、数多くのバブルが発生し、そして崩壊してきました。
歴史をよく知らない人は、したり顔で「人は間違いを繰り返す」「バブルには根拠がない」と語るのですが、これは正しい認識ではありません。
無数の銘柄がバブル的な株価となり、そして暴落して紙くずになりましたが、一方で「説明不能」と批判されながらも、結局はその価格が正当化されたケースもたくさんあります。
バブル崩壊は大きな被害をもたらすので長年、語り継がれることになるのですが、バブルがバブルでなくなったケースは損した人がいないので、ほとんど語り継がれないという特徴があります。
イノベーションへの期待がバブルの原動力
バブルだと思っていたらバブルではなかったという典型的なケースが1920年代に発生した米国の自動車株バブルでしょう。
本格的な自動車の普及が始まったことで、自動車メーカーであるGM(ゼネラル・モーターズ)の株価は200倍に高騰しました。当時としては、まったく説明不能な株価であり、投機的な動きに対してかなりの批判が寄せられましたが、今のGMをバブルだと指摘する人は誰もいません。
トヨタも国内で自動車が急速に普及した1960年代には、株価が約70倍に高騰しています。その後、トヨタの株価はさらに上昇して現在に至っているわけですが、トヨタ株をバブルだと批判する人はいないはずです。
つい最近も同じような現象が観察されています。パソコン向け半導体では圧倒的なシェアを持つインテルの株価は2000年前後に約100倍に高騰しました。当時、インテルの株価は説明不能とされましたが、その後インテルの株価はどうなったかについては説明するまでもないでしょう。
つまり、価格上昇時点においてバブル的であっても、その技術や製品が本格的に普及すれば、その価値は正当化されるのです。ある銘柄の価格が高騰した時、それがバブルなのかどうかは後にならなければ分かりません。
お金に縁のない人は、どういうわけかこの真実から目を背けようとします。
バブルというのはたいていの場合、イノベーションに対する期待から発生します。ビジネスでも同じですが、成功を収めるプレイヤーがごくわずかであるのは当然のことです。この目利きができるかどうかが成否を分けるのです。