一時、下火になっていた個人投資家による外国為替証拠金取引が急拡大しています。FX取引を行う投資家層と仮想通貨取引を行う投資家層は重複しているといわれていますが、仮想通貨の価格急落と同じタイミングでFXが復活しているという現状を考えると、この仮説は合っているようです。
FXの投資家層と仮想通貨の投資家層は重複している
金融先物取引業協会がまとめた1月の店頭外国為替証拠金取引の金額は365兆4697億円となり、昨年12月と比較して48%も増加しました。これは昨年9月以来の数字です。
FX取引は為替相場の動きが緩やかになったことから、低調な状況が続いていました。FX取引を行う個人投資家は高いボラティリティを望みますから、相場の動きが小さくなると、利益を上げるチャンスが減ってしまうわけです。
昨年後半から、ビットコインをはじめとする仮想通貨の価格が高騰したことで、多くの投資家がFXから仮想通貨に乗り換えたといわれています。しかし年明け以降、仮想通貨の価格が急落したことで、仮想通貨取引も低調な状態が続いていました。
こうしたところに急に円高が進み、ドルの反転上昇を狙う投資家にとっては環境が整いつつあります。仮想通貨の取引が低調になり、再びFXの投資が活発になっていることを考えると、FXと仮想通貨の投資家がかなりの割合で重複しているというのは間違いなさそうです。
FX取引と仮想通貨取引は異なる種類の投資に思えますが、短期投資を行う投資家にとっては、そうでもありません。短期投資で用いられる方法論は、対象となる商品の違いには影響しないことがほとんどです。
日本人の資産運用は両極端で、国際的に見て非常に珍しい
日本人は一般的に投資を好まないといわれており、実際、日本人の資産のほとんどは現預金に偏っています。これは諸外国と比較するとかなり特殊な状況といえます。
一方で日本人は、FXや仮想通貨といった投機的な要素が強いハイリスク・ハイリターンの商品が大好きです。日本はFX取引において世界でも突出した市場であり、仮想通貨の取引においても日本人のシェアはかなり高いことで知られています。
ここまでリスクの高い商品に対して、ごく一般の投資家が取り組んでいる国というのは、非常に珍しいでしょう。
日本人の投資環境は、リスクがほとんどゼロでその代わりリターンもゼロの銀行預金と、極めてハイリスクな投資に完全に二極分化しています。株式投資はその中間に位置するものであり、本来であれば、相当のボリュームゾーンですが、この部分がスッポリと欠落しています。
投資にはリスクの高いものと低いもの、長期のものと短期のものがあり、どちらが良い悪いという話ではありません。短期投資は投機的要素が強く、一部の人は否定的に捉えていますが、短期の投資家がいないと市場の価格形成機能がうまく働きませんから、彼等がいないと市場が成立しません。その意味では市場参加者全員が市場に貢献しているわけです。
しかしながら、無リスクと投資と投機的投資に2極分化しているという状況は、かなり特殊であることは間違いありません。市場を健全に育成するためには、もう少しバランスの取れた分布になっていく必要があるでしょう。