加谷珪一の投資教室 第4回
ファンダメンタル分析と正反対の概念を持っているのが、テクニカル分析です。テクニカル分析には様々な種類があり、一括りにするのは難しいのですが、ファンダメンタル分析との最大の違いは「株価の動きについて法則性を見つけ出す」という部分に集約されます。
ファンダメンタル分析では、その企業が持っている本質的価値をもとに株価が形成されると考えるので、過去の値動きが将来に影響を与えることはないとの立場です。
しかしテクニカル分析では、これとは正反対で、株価には法則性があり、過去の値動きが将来に影響を与えると考えます。
テクニカル分析の代表選手といえばチャート分析ですが、チャート分析の中でもポピュラーなのは移動平均線でしょう。移動平均線は、一定期間の株価を平均した数字を再度グラフ化したもので、株価のチャートに重ね合わせることで、トレンドを分析するものです。
現在のチャートが移動平均線より上にあれば、トレンドは上向きになっていると判断され、逆に移動平均線を下回った場合には、トレンドが転換したと考えます。このほか、テクニカル分析では、株価の値幅やチャートのビジュアルな形状についても分析対象となります。
上昇した分の半分まで株価が下がった状態を「半値押し」と呼びますが、経験則的に、半分程度まで値が下がると買いが入りやすくなり、再び上昇に転じる可能性が高くなることはよく知られています。
一方、高値圏で、3つ天井を付けた形状(中央が最も高値)になると「三尊天井」となり、相場が下落に転じるサインとなります。外国でも同様のパターンはよく知られており、英語では「ヘッド・アンド・ショルダー」(人の肩と頭の形)と呼ばれています。
買われすぎ、売られすぎという、相場の勢いを分析するオシレーター系の指標と呼ばれるものや、波動分析などテクニカル指標には様々なものがありますから、どれを使えばよいか迷ってしまうかもしれません。
筆者はファンダメンタルを使って銘柄を絞り込んだ後、買うタイミングを判断するために移動平均線をよく用いています。このあたりは人それぞれですから、経験を積んで、好きな手法を身につけていくのがよいでしょう。