経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

加谷珪一の投資教室 はじめに

 投資と投機は違うとよく言われます。

 投機は、偶然の要素が強い市場で、短期間の価格の上下に賭けるような取引を指します。これに対して投資とは、投資先の企業が、将来生み出す収益に対して資金を投じる行為を指しています。

 金融商品には投機の側面と投資の側面がありますが、どちらの要素が強いのかは商品によって違ってきます。株式投資はその性質上、投資の要素が強く、為替の証拠金取引(FX)は投機的要素の強い商品といってよいでしょう。




 投機は悪いことで、投資はよいこと、という漠然としたイメージがありますが、どちらが良い悪いと一概に決め付けることはできません。投機的な意図を持って市場に参入する人がいないと、取引が活発化せず、買いたい時に買ったり、売りたい時に売ることができなくなります。投機的な投資家も市場に大きく貢献しているのです(流動性の確保)。

 しかしながら、ある程度の時間をかけて資産を増やそうという場合には、投機ではなく投資に集中した方がよいでしょう。投資の方が偶然の要素を排除できますから、知識を身につけることによって、より確実に収益を確保することができます。

 株式に投資するということは、部分的とはいえ、その会社の所有者(オーナー)となり、経営に参画することにほかなりません。例えばトヨタに投資したということは、トヨタの事業に対してお金を出し、将来、トヨタが生み出した収益を配当などの形で還元してもらうことを意味しています。




  トヨタの事業が拡大すれば、当然、配当も増えて株価も上がってきますから、投資家は儲かりますが、株価の上昇が投資の本質ではありません。

 トヨタの事業が将来、順調に拡大して収益を生み出すことを期待して、そのための必要資金を投じるのが株式投資です。株価の上昇は、その結果としてもたらされるものに過ぎないということを理解する必要があります。そうであればこそ、株主には株主総会に出席し、経営方針に対して一票を投じる権利が与えられているわけです。

 株式投資が将来にお金を投じることである以上、その会社が今、いくら儲かっているのということも大事ですが、それ以上に、今後の事業はどうなるのかという将来性の部分がより大事になってくるわけです。

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