加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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高額な役員報酬に妥当性はあるのか?

 

 このところ日本の上場企業の役員報酬が増加傾向にあります。グローバルスタンダードに合わせた動きということなのですが、どの程度、妥当性があるのでしょうか?

サラリーマン経営者の報酬が急増している
 2014年3月期の決算において、役員報酬額トップとなったのはキョウデンの橋本浩最高顧問で金額は約13億円でした。しかし、橋本氏はキョウデンの創業者ですし、報酬のほとんどは退職慰労金です。

 橋本氏はいわゆる年間の報酬としては2200万円ほどしかもらっていません。庶民からみればスゴい額かもしれませんが、会社をゼロから育て上げたオーナーの年間報酬としてはむしろ安すぎるくらいでしょう。

 それよりも最近目立っているのが、会社の創業者ではなく、社員から昇格したいわゆるサラリーマン社長で、億を超える高額報酬をもらう人が増加していることです。

 同じサラリーマン社長でも、株主から請われ、経営者として外部から招聘された人と、社員から内部昇格した人の2種類があります。

 外部から招聘される人物としては、マクドナルドの社長からベネッセの社長に転じた原田泳幸氏のような人が該当します。
 金額の多寡についてはいろいろと議論になりますが、彼等は経営のプロフェッショナルであり、プロ野球選手のようなものですから、ある程度、高額報酬になることは、株主も十分に理解していると考えてよいでしょう。

 本当の意味で、高額報酬の是非について議論の対象とすべきなのは、これらに該当しない、一般的なサラリーマン経営者ということになります。
 今年度は、三菱電機が1億円を超える高額報酬を受け取る役員を急増させたことが大きな話題となりました。

 昨年、同社で1億円を超える役員はわずか1名でしたが、今年は一気に18人となりました。同社で高額報酬を受け取る役員が一気に増えたのは、円安で業績が回復したことに加え、同社が業績連動の報酬体系を導入しているからです。

 役員が業績に連動して報酬をもらうことに反対する株主はほとんどいないと思われます。しかし問題はその報酬の基準です。

nissanngohon

グローバルスタンダードはおおいに結構だが
 三菱電機に限らず、最近はグローバルスタンダードに合わせるという観点から、高額な役員報酬をもらう役員が増えてきています。
 グローバルスタンダードに合わせるのはよいのですが、日本企業の業績はグローバルにみてどうなのかというと、実にお寒い限りです。

 三菱電機の2014年3月期の業績は、売上高約4兆円、当期利益は約1500億円しかありません。最終的に三菱電機の報酬については株主が判断することですから、外部の人間がとやかく言う話ではありませんが、グローバルに見れば、同社はとても高収益企業とはいえません。

 日本においてグローバルスタンダードという話が出てくる時には、日本には日本のやり方がある、といった議論が起こりがちです。
 筆者は日本企業の経営をグローバル基準に合わせることには賛成する立場ですが、日本ではグローバルスタンダードという話が出てくるときには、これとはまた別な注意が必要となります。

 つまりグローバル基準に合わせるべきという文脈で出されてくる話の中には、往々にして、実はグローバル基準に合致していないケースがあるということです。

 日本企業の役員報酬を世界基準に合わせて増額すべきだという話はそのひとつの例といってよいでしょう。役員報酬がグローバル基準で高額ということであれば、経営もグローバル基準で高収益でなければ整合性が取れません。

 グローバル経営の象徴としてよく引き合いに出される日産のカルロス・ゴーン社長の処遇についても少々疑問があります。

 高い業績を実現するために、国籍に関わらず有能な人物を高額で雇うことについて、筆者は反対しません。しかし、日産のカルロス・ゴーン氏が、本当に高額報酬の妥当性を担保できる経営者なのかについては疑問の余地が残ります。

 日産の親会社であるルノーはフランスの会社ですが、フランスでも日本のように役員の高額報酬が問題となっています。
 このためゴーン氏は、本国のルノー本体からはごくわずかの報酬しかもらっていません。買収した海外の子会社である日産だけから10億円近くの高額報酬をもらっているわけです。そうなってくると、本当にゴーン氏に10億円の報酬を払う価値があるのか微妙になってきます。

 日本が本当の意味でグローバルスタンダードになるためには、こうした都合のよい言葉の使い分けをやめ、あらゆる面でグローバル基準を受け入れる覚悟が必要となってくるでしょう。

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