ハイパーインフレになると実際のところどうなるの?

 ハイパーインフレによって経済が大混乱に陥っているベネズエラで、通貨単位を切り下げるデノミが実施されました。デノミを行えば見かけ上のケタは小さくなりますが、本質的な問題が解決されるわけではありません。

インフレがひどくなると商品がなくなってしまう

 ベネズエラでは、マドゥロ政権による放漫財政の穴を埋めるため中央銀行が自国通貨を乱発。その結果、物価上昇が止まらなくなるハイパーインフレーションに陥りました。IMF(国際通貨基金)の予想によると、同国のインフレ率は年内にも100万%に達する見込みです。

 インフレが発生すると、コーヒー1杯を買うにも札束が必要といった話がよく紹介されますが、実際のところ、どのような状況になるのでしょうか。

 インフレがひどくなると、たいていの場合、物資が不足し、店頭にモノが並ばなくなります。

 通貨に価値がないことが明らかになった場合、誰もその通貨を持とうとはしません。商店はモノを仕入れなければ、商売になりませんが、商店にモノを卸す会社は現金を受け取りたくないですから、納入を躊躇するようになります。

 こうした事態が同時多発的に起こりますから、流通が滞ってしまいます。

 また街中では現金そのものが不足することになります。中央銀行もしくは政府は、物価が値上がりした分だけ、貨幣を供給する必要がありますが、値上がりのスピードがあまりにも速いため、貨幣の供給が追いつきません。

 電子マネーが使える所では、多少、モノやお金が動いているようですが、現金主義のところは機能不全を起こしているはずです。

 輸入商品の場合にはさらに事態は深刻になります。ハイパーインフレで価値が消滅している国の通貨は誰も受け取ろうとしません。ベネズエラに輸出する企業は、おそらくドルの先払いでなければ商品を販売しないでしょう。しかし、ベネズエラ政府は外貨の引き出しや流通を厳しく制限していますから、輸入業者はドルの調達もままならない状態です。

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外貨が自由に手に入ることの意味

 これではビジネスが回りませんから、場合によっては、社員に給料が払えなくなり、業務が一時停止するといった事態となります。実際、ベネズエラの一部では水道が止まり、病院で患者が不衛生な状態で放置されているといった話も伝わっています。

 今の日本では為替が自由化されており、外貨を自由に調達することができますが、こうした環境を謳歌できる国は実はそれほど多くありません。日本もつい最近まで外貨を厳しく制限する国のひとつであり、自由な市場ではありませんでした。

 昨今は、自由市場やグローバル市場を軽視するような論調が目立つようになっていますが、今の豊かな生活の多くは自由市場によって成り立っているという現実を忘れてはいけないでしょう。

 ベネズエラほどではありませんが、トルコも通貨価値が大きく毀損し、経済が混乱しています。しかし欧州と接するトルコでは、ユーロやドルが豊富に流通しているので、庶民の生活に致命的な影響は及んでいません。

 自由市場というものを大事にし、その中で自国通貨の価値が損なわれないよう、健全な国家運営を行うことが極めて重要であることをベネズエラやトルコの事例は教えてくれています。