富士通の携帯電話事業完全徹底が意味すること

 富士通が携帯電話の販売事業から撤退します。製造についてはすでにファンドへの売却が決まっていますから、同社は携帯電話事業からほぼ完全撤退することになります。

コンシューマ事業からほぼ完全撤退

 富士通は、子会社で携帯電話販売事業をてがけていた富士通パーソナルズの携帯電話販売事業を売却します。同社は、NTTドコモのサービス店舗であるドコモショップを全国各地で運営しており1000億円以上の売上高がありましたが、富士通は携帯電話の製造からすでに撤退を決めており、販売会社を持つ意味は薄れていました。

 売却が完了すれば、富士通は携帯電話事業からはほぼ完全に撤退することになります。パソコン事業なども事実上、撤退に近い状況ですから、富士通はコンシューマ事業からほぼ手を引いたといっても過言ではないでしょう。

 富士通だけでなくライバルのNECも同じような状況にあります。

 NECも富士通と同様、旧電電公社(現在のNTT)に交換機を納入する、いわゆる旧電電ファミリー企業でしたが、その後、パソコン分野に進出。同社のPC-9800シリーズは、一時、圧倒的な国内シェアを誇っていました。

 しかし、日本独自仕様のパソコンは競争力を失い、PC-9800シリーズのシェアは急低下。最終的には富士通と同様、レノボグループの支援を得る形で事業を継続している状況です。
 
 スマホについては日立、カシオと事業を統合。その後、2013年にはスマホの製造を取りやめるなど、事実上、携帯電話事業からも撤退した状態にあります。

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もっと早く決断していればよかったが・・・

 富士通やNECがコンシューマ事業から撤退しているのは、時代の流れといってよいでしょう。コンシューマ向けの低価格な商品は、iPhoneのような特殊な製品を除くと、どうしても価格勝負になってしまいます。こうした市場で韓国メーカーや中国メーカーと正面から勝負するのは得策ではありません。

 両社とも、企業向けの情報システム構築に事業の軸足を移していますが、この分野は圧倒的に米国企業が強く、海外では彼等が圧倒的なポジションを構築しています。海外で競争力を発揮するのは困難ですから、富士通やNECは日本政府の情報システムなど、ドメスティックな部分で強みを発揮するしかなく、市場の成長性が限定されてしまいます。

 本来であれば、もっと早くコンシューマ部門からの撤退を決断し、ITビジネスをグローバルに展開できる体制を整えればよかったのですが、両社ともなかなか決断することができませんでした。

 富士通とNECが直面している課題は、多かれ少なかれ、日本企業に共通するテーマだと思います。縮小が確実な国内市場にフォーカスする場合、もう一段の経営スリム化を実現できないと、利益成長を追求するのは難しそうです。