リスクの正しい取り方

お金持ちを科学する 第27回

 お金に関するメンタリティがもっとも試されるのは、やはり、リスクを取る局面といってよいでしょう。リスクとの向き合い方はお金に関するすべての概念が凝縮されています。リスクの取り方が分かれば、お金持ちなるのはそれほど難しいことではありません。

危険なことをするのがリスクテイクではない

 世の中では、大きなお金を稼ぐには、危険なことをしなければならないと思っている人がいるのですが、それは間違っています。むやみにリスクを取ればよいというものではありません。お金を稼ぐためにはリスクを取る必要がありますが、それは適正なリスクであることが重要です。

 リスクを取る時に考えなければいけないのは、取ったリスクに対して相応のリターンがあるのかという点です。

 世の中には、リスクだけが高くて、リターンが少ないという話が意外とたくさんあります。こうした案件に引っかかってしまうと、儲けることはまず無理でしょう。

 リスクの度合いとリターンは基本的に比例しますから、やたらとリターンが大きかったり、リスクがないように見える案件は疑ってかかった方がよいわけです。

 フェアな取引ができる相手をしっかり選別し、適正な範囲のリスクとリターンの組み合わせの中でビジネスをするだけで、状況はかなり違ってきます。
 その中で、どの程度のリスクなら自分が引き受けられるのかを考え、最終的な収益とのバランスを考えた上で決断を下します。

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何のリスクを取ったのかを理解することが大事

 ここに2つの不動産物件があるとしましょう。ひとつは、便利な場所に建っているものの、問題のある住人がいることで、多くが空き家になってしまったマンション。もうひとつは、一等地に建つ高級マンションです。

 問題のあるマンションは、立地条件は良好ですが、一部の不良な住人のせいで他の住人が退去してしまい、十分なテナント料を確保できない状況にあります。つまり、潜在的な稼ぐ力は残っているものの、現時点では稼ぐ能力がありません。

 こうした物件を安く購入し、リフォームをした上で、新しくテナントを募集すれば、大きな利益率をもたらすことになります。しかしながら、この物件を購入して、適切に問題のある住人を追い出すことができるのかは、やってみなければ分かりません。
 この物件を買った人は、この部分のリスクを取ったわけですが、逆に言えば、これ以外のリスクを把握しないで投資するのは御法度です。取ったリスクを完全に可視化できるのがポイントとなります。

 一方、高級マンションにはそのような問題はありません。賃貸に出せば確実にテナントが付きますが、こうした物件は価格が高く、貸してもあまり儲かりません。投資金額を回収するためには、何十年も賃貸し続けなければならないでしょう。

 前者のマンションが儲かるのは、住人がいない状態のリスクを取ったからであり、そのリスクに対する利益としていくらが妥当なのかは市場が決定します。自分が取ったリスクを確実に把握できる能力こそが、投資やビジネスの成否を分けるのです。

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