「運」という「能力」について考察すると

お金持ちを科学する 第22回

 お金持ちの人ほど「運」を大事にする傾向が強いと言われます。逆に、お金が稼げない人ほど、運がいいことを軽視する傾向が顕著です。
 運も能力のうちと言いますが、ここでは運を大事にするということの意味をもっと掘り下げて考えてみたいと思います。

極限まで努力すると運の大切さが分かってくる

 お金持ちの人が運を大事にするという話は、運を信じていれば成功するというような単純な話ではありません。実際にはもっと重みのある話です。

 ある成功した実業家は、本当に資産家になろうと思ったら、人生で2回、大勝負をかけなければならないと主張していました。1回目はゼロから事業を立ち上げる時、2回目は、ある程度まとまったお金を用意し、規模拡大を目指して投資する時だそうです。

 このようなタイミングにおいて、何も準備をせず、ただ運を天に任せるようなことをしていては、勝負の時にエースのカードを引ける確率は、まさにトランプの通り13分の1くらいしかありません。13分の1ならまだマシな方で、実際には20分の1くらいでしょう。

 しかし、その事業に対して極限まで努力することで、確率を2分の1くらいにまで高めることができます。

 つまり、人間の限界ギリギリまでがんばれば、1回目の勝負で2分の1、2回目の勝負で2分の1となり、連続してエースが出る確率を4分の1にまで高めることができるというわけです。13分の1となると現実的にかなり厳しいですが、4分の1であればだいぶ雰囲気は変わってきます。

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努力と運とは密接に関係している

 逆に考ると、人としての限界ギリギリまでがんばっても確率は4分の1にまでしか上げることはできません。残り4分の3は、どんなに努力しても、運悪く失敗に終わります。

 極限まで努力すれば、成功する確率を4分の1にできると聞いて、これを高い確率だと考えるか、バカバカしいと考えるかは人それぞれでしょう。しかしながら、極限までがんばった人にとっては、4分の1というのは高い確率だと思えててくるものです。そして、そのような経験をした人は、心の底から、運を大切に思うようになります。

 非常にメンタルな話ですが、要するに、運を味方にするという考え方は、極限まで努力したことの裏返しというわけです。この話を聞くと、運を味方に付ける、運を大事にする、というお金持ちの哲学も、何となく理解できるのではないでしょうか。

 逆に言えば、運を軽視する人は、たいていの場合、その前段階である必死の努力も行っていないケースがほとんどです。運と実力の関係は、なかなか奥深いものといってよいでしょう。

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