景気がよい時ほど、格差は拡大する

お金持ちを科学する 第20回

 多くの人は景気が良くなることを望んでいますが、一方で景気がよい程、格差が拡大するという不都合な真実もあります。お金持ちになりたければ、景気がよい時に、一気に動かなければなりません。

格差がもっとも縮小したのは敗戦時という皮肉

 ひとくちに格差といってもいろいろありますが、分かりやすい形で所得格差という部分に的を絞って考えてみましょう。所得格差を評価する手法のひとつにパレート分析というものがあります。

 所得の分布は経験則的にパレート分布に従うことが知られています。パレート分布とはベキ分布の一種で、右側に長い裾野を持った確率分布(いわゆるロングテール)のことです。難しい理屈は置いておいて、このパレート分布のグラフの傾きによってどれだけ所得分布が平等なのかが分かるという仕組みです。

 長期的にこの分布を分析すると、好景気の時には所得格差が広がり、不景気の時には所得格差が縮小するという傾向が顕著に観察されます。

 過去の歴史の中でもっとも所得格差が縮まったのは太平洋戦争の末期、日本が焼け野原になっていた頃です。逆に所得格差がもっとも広がったのは、1960年代、高度成長の末期でした。その後バブル経済が絶頂だった頃も、同じように所得格差が大きい状態が続いていました。

 要するに景気が悪く失業者が溢れているような時代の方が貧乏人にとっては有利で、好景気で毎年給料が上がっていく時代の方がお金持ちにとっては有利なのです。

growth03

景気がよい時に勝負をかけなければチャンスはない

 ここ20年、日本では景気低迷が続いてきましたから、所得格差は縮小傾向でした。高額所得をもらう人の数が大きく減ったことが主な要因です。

 この話はよく考えてみれば当たり前のことで、景気がよければ事業や投資が順調に進む可能性が高くなります。従業員の給料も上がっていきますが、それ以上に投資家や実業家の儲けは大きくなるわけです。

 逆に不景気の時には、実業家は儲けが大きくなるどころか収入がゼロということもあり得ます。しかし、給料をもらっている従業員は、給料が減ることがあってもゼロにはなりませんから、格差が縮小するのです。

 しかしながら最近では少し異なった傾向も見られるようになってきました。特に景気が回復しているわけではないのに、日本の格差が拡大傾向を見せ始めています。これは景気拡大によるものというより、社会の貧困化が大きく影響している可能性が高いでしょう。

 いずれにせよ、景気がよい時には、積極的に資産形成をしないとお金持ちになれないどころか、自身の相対的な立場を下げてしまいます。好景気だからといって浮かれているわけにはいかないのです。

お金持ちを科学する もくじ