国際収支の中身を分解すると・・・

加谷珪一の超カンタン経済学 第27回

 輸出や輸入はGDP(国内総生産)に大きな影響を与えます。外国との取引によって、いくら受け取ったのか、いくら支払ったのかを示しているのが国際収支です。

国際収支は経常収支と金融収支に大別される

 国際収支には大きく分けて2つの種類があります。ひとつは「経常収支」でもうひとつは「金融収支」です。

 経常収支は、貿易などによるやり取りを示したものです。もう少し細分化すると、経常収支は、モノやサービスのやり取りを示す「貿易収支」と、利子や配当による収支を示す「所得収支」に分かれます。モノやサービスを外国に売れば貿易収支が黒字(プラス)となり、利子や配当を受け取れば所得収支が黒字というわけです。

 一方、金融収支は、保有する資産や負債の増減に伴う収支です。つまり資産や負債が増えたのか減ったのかという話です。資産が増えれば金融収支は黒字(プラス)で、資産が減れば金融収支は赤字(マイナス)となります。

 国際収支の定義上、経常収支と金融収支は必ず一致します。つまり、貿易でのお金の出入りと金融でのお金の出入りは表裏一体なので、両者は常に同じになるわけです。

 例えば、貿易収支が黒字の場合には、受け取った代金は外貨ですから、同じ金額だけ外国の資産が増えたと考えます。金融収支はその増加分がプラスと記載しますから、両者は同じ金額になります。

 逆に、貿易収支が赤字の場合には、貿易赤字の分だけお金が出ていくことになり、その分だけ保有している資産が減少しますから、両者の数字はやはり一致します。このほか、無償援助など対価を伴わない取引などが含まれる資本移転等収支というものがありますが、とりあえずは無視してよいでしょう。

 ちなみに、国際収支統計は2014年から大きく変わっており、以前、存在していた資本収支という項目はなくなっています。資料を見るときには注意してください。

Copyright(C)Keiichi Kaya

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単に複式簿記の話をしているだけ

 経常収支の金額と金融収支の金額が一致するというのは、国際収支の定義ですので、いかなる時でも必ず成立します。

 この話は会計で用いられる複式簿記と同じと考えてよいでしょう。製品を販売するとその分がPL(損益計算書)に計上され、同時にB/S(貸借対照表)の現金の項目が増加します。損益計算書上の売上高と増加した現金の額はルール上、常に一致することになります。

 経常収支と金融収支が一致するというのは、損益計算書の収支が、貸借対照表の資産増加分に一致するということであり、得られたフローの分だけストックが増加するという当たり前の話をしているに過ぎません。

 話が少しそれましたが、結局のところ、国際収支というのは、貿易やお金の貸し借りによって、いくらお金が増減したのかを示したものということになります。

 その国の豊かさは、基本的にGDPが増えたかどうかで決まります。輸出は直接的にはGDPのプラス要因ですが、消費や投資など他の項目への影響も考えなければなりません。

 輸出の増加が最終的にGDP増大につながるのであれば輸出はGDPにプラスという解釈になりますし、米国のように、採算が合わないモノは輸入した方が、さらにGDPが伸びるということであれば、逆に輸入の増加が経済にとってプラスに作用することになります。

 単純に経常収支が黒字であれば豊かになり、赤字になると貧しくなるという話ではありません。

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