情報の到達経路によってコンテンツは変わる

加谷珪一の情報リテラシー基礎講座 第22回

 情報というのは、どのような経路で届けられたのかによって内容が変わってしまいます。情報の到達経路が持つ特徴を理解しておかないと、正しい情報分析はできません。

従来型媒体は閲覧する意思がある人だけを対象としていた

 新聞や雑誌を中心とする従来のマス媒体は、読者が、表紙やもくじ、あるいは誌面全体を最初に見ることを想定して作られています。普段はあまり意識しないかもしれませんが、新聞記事には、記事の大きさやその位置に関する明確なルールがあり、重要度によって、大きさと場所が変わるようになっています。

 読者がそれをどの程度、意図するのかはともかくとして、新聞のレイアウトそのものに作り手の意図があり、どの記事を優先して読めばいいのか、ある程度のガイダンスが実施されるよう、あらかじめ設計されているわけです。雑誌の表紙やもくじも、よく見ると、文字の大小があり、必然的に情報に重み付けをするための役割が期待されています。

 基本的に従来メディアは、その媒体を積極的に見る意思がある人を想定読者にしています。スポーツのことが書いてあるのか、料理のことが書いてあるのか、経済のことが書いてあるのか、まったく知らずに雑誌を手に取るということはあり得なかったわけです。

 その分野に興味のある人が、効率的に情報収集ができるよう、情報を体系立てて整理したものが従来メディアということになります。

 ところがネットの場合は情報の到達経路がまったく違います。

 ネットの黎明期は、基本的にネット・メディアも、既存メディアの作り方を踏襲していました。つまり目的を持った読者がトップページから入ってくることを想定して、サイトをデザインしていたのです。

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デジタル時代は閲覧者がランダムにやってくる

 ネットの黎明期から存在しているポータルサイトのYahoo!がよい例ですが、トップページの配置はあたかも、既存の新聞や雑誌のような作りです。これは媒体が紙からインターネットに置き換わっただけで、情報の体系化という基本的なコンセプトは変わっていなかったことを意味しています。

 しかし、検索エンジンがロボット型になり、紙のコンテンツをもともと使わない層(デジタル・ネイティブ)がネット閲覧の中心になると、この図式は大きく変わりました。

 検索エンジンの検索結果からやってくる閲覧者は、そのサイトがどのようなサイトなのか事前の予備知識はありません。慣れてくれば、検索結果の表示画面に示される部分的なテキストからおおよその内容を把握できるようになりますが、多くの利用者はそうではないでしょう。

 検索エンジンを閲覧する利用者は、自分が欲するキーワードに敏感に反応し、コンテンツに関する予備知識なしに、そのサイトを訪問してきます。ニュースサイトなのか、個人のブログなのか、官庁の情報提供サイトなのか、企業による宣伝なのか、多くの利用者は意識していません。

 目的を持った読者だけを対象にしている新聞や雑誌の場合、読者にはある程度の予備知識がありますから、奇抜なタイトルをわざわざつける必要はないでしょう。

 しかし、ネット空間からの閲覧者を獲得するためには、まず見出しで興味を持ってもらわないと、記事を読んでもらうというスタートラインに立てません。その結果、単純化した主張を前面に出した見出しや、思わせぶりな見出しが並ぶ結果となります。当然、記事の内容もそれに合わせて変わっていくことになるのです。

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