ほとんどの人にとって債券投資は不要

加谷珪一の投資教室 実践編 第14回

 証券会社のサイトにいくと、株式に加えて社債や国債など、債券に関連した商品も並んでいます。しかし、債券という商品は多くの個人投資家にとって不要な商品です。資産が一定規模にならないうちは、無理に購入する必要はないでしょう。

債券にもそれなりのリスクがある

 低金利が続いていたこともあり、一部の個人投資家は銀行預金よりも高い金利を求めて、債券中心の商品に投資しているようです。株式は少しリスクが高そうに見えるので、ミドルリスク、ミドルリターンという意味で債券を選択する人もいます。

 しかしながら、債券と銀行預金は、利子がもらえるという点では似ていますが、だいぶ性質の異なる商品です。また株式投資と債券投資もまったく違います。銀行預金の代わりに債券投資を選択したり、株式投資の前段階として選択するようなものでもありません。

 確率が低いとはいえ、債券にはデフォルト・リスクがあります。高めの利子はこのリスクを引き受けたことに対する報酬ですから、れっきとしたリスク資産と考えてよいでしょう。

 債券は何もなければ、毎期金利がもらえ、しっかり元本も返ってくるわけですが、が、もし発行体に何かあれば、一瞬で紙くずになってしまいます。しかも株式とは異なり、市場の流動性が低いですから、換金できないリスクも高いと考えるべきでしょう。

 株式であれば、経営難の噂が徐々に広がり、メディアでの報道も増え、それに伴って株価が徐々に下落していきますから、損切りのタイミングはいくらでも存在します。しかし債券はそうはいきません。

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富裕層を除いて、わざわざ投資する理由はない

 特に日本の場合には、米国のような個人向け債券市場が存在しないので、基本的に償還まで待つというのが原則となるでしょう。万が一、発行体に何かあれば、金利も元本も返ってこないということがあり得るわけです。

 こうした条件であっても、債券の購入に魅力を感じる投資家層というのはどのような人たちでしょうか。それは、かなりの金額を保有した資産家ということになるでしょう。

 彼等の目的は資産の購買力維持であって資産規模の拡大ではありません。インフレ率に負けない金利を獲得できればよいのであり、それ以上は求めていません。

 債券であれば株式と異なり、配当が状況によって変化することもなく、デフォルトしない限りは確実に金利と元本を受け取れます。また数多くの銘柄に分散して投資するので、仮にひとつの債券がデフォルトしても、全体への影響は限定的です。何より、保有期間中は確実に金利が受け取れるという点が重要なのです。

 したがって、資産額がそれほど大きくない人は、債券投資についてあまり真剣に考える必要はありません。いつの世も、いつの時代も株式投資が資産運用の王道です。もっともよくないのは、銀行預金中心だった人が、低金利に耐えられず、同じような感覚で高利回りの債券に手を出してしまうことです。

 先ほども説明したように、債券と預金は異なる商品ですから、同一の価値観では比較検討しない方がよいでしょう。

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