プロの投資家を恐れる必要はない

加谷珪一の投資教室 実践編 第6回

 市場にはプロの投資家が存在するので、一般の個人投資家ではとても太刀打ちできない思っている人も多いようです。しかしながら、この話も、疑ってかかるべき常識のひとつといってよいでしょう。必ずしもプロが強いとは限らないのが株式投資の面白さです。

プロの投資家は決して休めない

 プロの投資家の中には、信じられないような能力を発揮する人がごく一部ですが存在します。またプロの場合には資金力にモノを言わせた買い方ができるほか、コンピュータを駆使した超高速取引なども容易に実施できます。こうした物量で勝負するような投資手法に個人投資家が挑んでも、結果が見えているのは当然でしょう。

 しかしながらプロの投資家には弱点が多いというのも事実です。特に規模の大きい投資信託に至っては弱点だらけといってよい状況であり、個人投資家にとっては有利なことも多いのです。

 プロ投資家最大の弱点は、どんな時でも投資を続けなければならないという部分でしょう。

 投資信託はいつでも購入や解約ができる商品です。このため、ファンドマネージャーは、いついかなる時でも同じように運用を続ける必要があります。「このところ調子がよくないのでしばらく休みます」とは言えないのです。これはヘッジファンドも同様です。

 出資者に対して「今は動かないのがベストだ」と言い放つことができるのは、カリスマ的な人気を誇るごく一部のファンドマネージャーに限られます。一般的なファンドマネージャーは、常に投資家からの利益追求圧力にさらされているのが現実です。

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買いたい時に買えないこともある

 プロの投資家は、場合によっては不利であると分かっていても、投資を進めるケースがあり、これが彼等にとって最大の弱点となります。

 どんなにファンダメンタルな条件がよい企業でも、市場全体のパフォーマンスが悪い時に買ってしまっては、絶対値として株価は下がってしまうでしょう。このような時には、投資は一旦休憩するのがベストです。

 ところがプロの投資家はそうはいきません。相場の基調が悪い時でも買い進み、個人投資家の売りをわざわざ吸収するような行動を取らざるを得ないケースも出てくるわけです。

 これとは逆に、買いたい時に買えないこともあります。

 例えば2015年は、株価が堅調に推移していましたから、投資信託の販売も絶好調となっていました。しかしある大手証券グループの資産運用会社は、投信の購入希望者があまりにも多いことから、投資信託の募集を一旦、打ち切らざるを得ませんでした。

 投資信託は、ファンドの規模が大きく、急に運用資産を拡大してしまうと、自らの売買で相場を動かしてしまう危険性があります。このため、顧客が殺到しているにもかかわらず、時期を分けて段階的に販売することになってしまったわけです。これはファンドマネージャーから見れば、買いたい時に買えないということを意味しています。

 個人投資家はいつでも相場を休むことができますし、必要であれば、躊躇せず、一気に買い進むこともできます。こうしたメリハリを生かした投資のやり方は個人投資家ならではのものであり、決してプロには真似できないものです。

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