近すぎても遠すぎてもいけない、コンビニと商社の距離(後編)

コンビニ経済学 第6回

 前編では、セブン-イレブンと伊藤忠商事が二人三脚で事業を進めてきたことや、伊藤忠がコンビニ本体のビジネスに手を伸ばし、取引先であるセブンと競合になってしまった経緯について解説しました。

伊藤忠とファミマには距離があったが・・

 小売店は顧客が望む商品を提供するのが使命であり、メーカーや卸が売りたい商品を販売するというビジネス・モデルではありません。

 小売店が商社の傘下に入れば、商社側は当然、自社の商品を扱うようコンビニに要請するはずです。もし顧客の要望を満たす商品ばかりであれば問題ありませんが、あまり魅力的ではない商品が含まれていた場合、商社の傘下に入っていることは、逆にコンビニの業績を悪化させる要因となります。

 セブンの鈴木敏文会長(当時)から指摘されるまでもなく、伊藤忠もこのことはよく理解していました。当時、伊藤忠の社長を務めていた丹羽宇一郎氏は、ファミマの独立性を保つため、伊藤忠の社員に対して、取引先を無理に伊藤忠に変えるような営業はしないようクギを刺していたそうです。

 こうした経緯もあり、伊藤忠はファミマを子会社化せず、グループ会社として位置付けてきました。しかし2018年4月、とうとう伊藤忠はファミマの子会社化を決定しました。

 新サービスの展開において商社との連携強化が必要になったことがその理由ですが、これが吉と出るか凶と出るかは何ともいえません。

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ローソンの株主総会で相次いだ子会社化に対する懸念

 ちなみに商社によるコンビニの子会社化には三菱商事とローソンという先例があります。

 ローソンはもともとスーパーのダイエーが所有していましたが、経営が悪化したダイエーは2000年、ローソンの株式を三菱商事に売却しました。その後、ローソンは三菱商事のグループ会社として経営を続けてきましたが、三菱商事は2017年2月、約1400億円の資金を投じてローソンを子会社化しています。

 グループ企業として適度な距離があった両社でしたが、三菱商事が子会社化に踏み切ったことには、三菱商事側の事情が関係しています。

 三菱商事は、高い利益を上げるローソンを子会社化することで、連結決算においてローソンの業績を自社に取り込むことができます。経営陣にしてみれば、てっとり早く業績を上げる手段となるわけですが、ローソン側から見れば、商品選択の自由度が下がってしまいます。
 
 一方で、子会社になれば、ローソンは三菱商事が持つ豊富なビジネスのリソースを自由に使うことができますから、事業展開のスピードアップを図れるというメリットがあります。

 どちらを優先するのかで子会社化に関する評価は変わってきますが、ローソンの株主の一部はあまり納得していないようです。
 買収完了後、初の株主総会では、三菱商事との利益相反に関する質問や意見が株主から相次ぎました。ファミマも基本的には同じ図式であり、伊藤忠側の事情が深く関係しています。

 このように商社による子会社化については見解が割れているのですが、これがプラスなのかマイナスなのかについては、今後のローソンとファミマの業績で判断するよりほかないでしょう。

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