加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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反社会ビジネスが横行する理由

 

 発光ダイオード(LED)証明の架空取引で、大手広告代理店電通の子会社「電通ワークス」から2億円をだまし取ったとして、警視庁はLED販売業者の幹部など6人を逮捕しました。
 今年1月の摘発以来、すでに8人が逮捕されていますが、この事件は今回さらに6人が逮捕されたことでひとつのヤマを越えそうです。

詐欺事件の背後にある共通項とは?
 一連の事件の背後には、かなり本格的な詐欺グループが存在しているといわれており、LEDのほかに、太陽光発電システムの詐欺事件とも関係が深いといわれています。

 いわゆる悪徳業者や反社会的ビジネスということなのですが、こういう輩はケシカラン、逮捕しろ、という話になり、実際に逮捕者も出るのですが、こうした犯罪は決してなくなりません。

 わたしたちは、ただケシカランと怒るだけでは不十分です。なぜこのような詐欺事件が発生するのかという、もっと根本的なメカニズムについて考える必要があります。

 LEDの詐欺事件と太陽光発電システムの詐欺事件には共通項があります。それは政府や自治体など公的な機関が何らかの形で一定の利益を保証してしまっているという点です。

 例えばLED照明ですが、従来の白熱電球と比較する消費電力の少なさは圧倒的で、確かにこれを導入すれば節電や省エネにつながります。
 しかし日本全体のエネルギー消費量は、照明の消費電力だけで決まるわけではありません。これまで企業は白熱球の生産のために多数の工場を建設しており、そこには大量のエネルギーが投入されているからです。

 これをムダに捨てて、新しく設備を導入してLEDに置き換えた場合、最終的にどの程度、エネルギー消費が抑えられるのかはそう簡単には分からないのです。

 こうしたことは神のみぞ知るという話であり、最終的にLEDの方が省資源でメリットが大きいのであれば、放っておいても自然に普及が進むはずです。しかし政府は、企業に対して白熱球の生産や販売を控えるように要請してしまいました。

led

市場メカニズムを曲げることの弊害も考えるべき
 要請というのは名ばかりで実際には強制に近いものです。こうなってしまうと、企業などはLEDを買わなければならない状態に追い込まれてしまいます。
 LED電球など誰でも作れてしまいますから、この特需を悪用しようという人が出てくるのはある意味で当然のことなのです。大きな詐欺事件が発生する根本的な土壌が存在しているわけです。

 太陽光発電も同じです。家庭に設置した太陽光発電システムが作った電気は、政府が決めた値段で電力会社が買い取ってくれます。買い取り料金は電力会社が負担するわけではありません。しっかりと電気料金に上乗せされますから、国民全員が負担するようなものです。

 つまり、全体的に見れば、太陽光パネルを設置しない人から徴収したお金を、パネルを設置した人に所得移転しているということになります。

 このような都合のいい話は、通常の市場経済ではあり得ません。太陽光パネルの悪徳業者にとっては「設置すれば必ず儲かりますよ」とセールストークをして、発電システムを高値で消費者に売りつけるに決まっているのです。

 家に太陽光発電システムを設置すれば、たとえ個人といえでも立派な発電事業者です。これまでただの庶民として生活してきた人が、突然、発電ビジネスで起業するでしょうか?そんなことはないはずです。

 普通はあり得ないことが起こってしまうのは、事実上、政府が一定金額で買い取って利益を保証するという行為を行っているからです。

 市場で競争があることは、ネガティブに理解されることも多いのですが、決してそうではありません。太陽光パネルもLEDも、完全な自由市場であれば、多くの人が、本当に得になるのか、知識がないのに参入してもよいのか、慎重に検討するはずです。

 このように緊張感を持って、慎重にものごとに取り組むことで、人にダマされない知恵も身に付いてくるものです。

 わたしたちは、市場メカニズムを曲げて政府が介入してくるものには、こうした不正が発生しやすいという現実をよく理解しておくべきでしょう。これは賢い人間だけが持つことができる知恵なのです。

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