銀行マンが転職できるかという話と、中高年の地域デビューにおける共通点(前編)

 メガバンク各行が大規模な人員削減に乗り出したことから、銀行マンの転職先について関心が高まっています。経営や財務の専門知識を持つ人材として期待が寄せられる一方、銀行マンは使いものにならないとの声も多く聞かれます。

 銀行にはハイスペックな人材が多く揃っていますが、転職に際して課題があるとすれば、スキルというよりもむしろマインドの方でしょう。高いプライドが邪魔をして、現場の実務に溶け込めない可能性があるからです。これは、いわゆる地域デビューで苦労する中高年と同じ図式かもしれません。

一部の銀行マンは中堅企業の経営幹部になれるが・・・

 昨年末、メガバンク各行は大規模な人員削減計画を明らかにしました。明確に人員削減とは説明していない銀行もありますが、3行合わせて、3万人以上の人材が余剰になると言われています。

 近年、珍しい規模のリストラだけに世間の注目度は高く、銀行を去った人材がどこに転職するのか多くの人が関心を寄せています。あるメガバンクのトップは、銀行から転出する人材について「中小企業やベンチャー企業の財務担当者になり得る」との見解を示しています。

 財務や経営に精通している人は絶対数が少ないですから、こうした人材が中小企業やベンチャー企業の経営に重要な役割を果たすというのは一般論としては合っているでしょう。しかし、こうした見方に対しては、懐疑的な意見が多いのも事実です。

 確かに一部の銀行マンは、財務や企業経営にかなり精通しています。銀行マン出身の企業経営者が多いということからも、それは伺い知ることができると思います。しかしながら、すべての銀行マンが、財務や経営に精通しているわけではありません。

 一般的な銀行マンの仕事は、預金を集めてそれを管理し、資金を企業に融資することです。ほとんどの行員は、預金を獲得したり、融資先を開拓するための営業マンであり、実際に経理や財務の実務をこなせる人は意外と少ないのです。

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高いプライドが邪魔をする

 昭和の時代までは、得意先の企業に深く入り込み、経営者と懇意になってアドバイザー的な役割を果たす行員も多かったのですが、最近では、本店主導で一括した審査を実施するのが主流です。各支店にはほとんど裁量権がありませんから、こうした環境で、経営の実務的なセンスを磨くのは容易ではないでしょう。

 自ら高い意識を持ってコンサルタント的な仕事ができるようスキルアップを心がけた人なら問題ありませんが、漫然と銀行マンを続けた人の場合、経営幹部として即戦力になれるのかは微妙なところです。

 しかしながら、銀行マンの転職における最大の課題はスキルではありません。もっとも大きな障壁となるのは、銀行マンのマインドでしょう。

 メガバンクの行員は、いわゆる高学歴者が多く、彼等はそれに対して高いプライドを持っています。また営業現場における銀行の立場は強く、顧客対応で惨めな思いをする機会はほとんどありません。このため、過剰なプライドが邪魔をして、ドロくさい現場のカルチャーに馴染めない人が多いのです。

 本人にその気はなくても、周囲に対して慇懃無礼な態度を取ってしまい、これが良好なコミュニケーションを阻害してしまいます。これはスキルとは別次元の話ですので、改めることは容易ではありません(次回に続く)。