AI化の進展で失業の可能性が高まる意外な職業

 AI(人工知能)が普及することで多くの職業が不要になるという話は多くの人が耳にしていると思います。しかし、AI化の影響は思わぬ分野にも影響を及ぼす可能性があります。AI時代には引く手あまたとなるイメージが強い職業もその例外ではありません。

AIが普及すると統計が不要に?

 AI時代になってニーズが低下すると考えられる意外な職業のひとつは統計の専門家です。AIがビッグデータを使いこなして、次々と分析を行う時代においては、統計のスペシャリストは必須であるように思われます。しかし、AIによる処理が一般的になると、むしろ従来型の統計分析は不要になると指摘する専門家は少なくありません。

 従来のデータ分析においては、作業量の制約などから、すべてのデータを処理することは不可能でした。市場調査などを行う際には、いくつかのサンプル(標本)を採取し、統計的に全体との整合性が取れていることを確認した上で、これを全体とみなして分析を行っていたわけです。

 サンプルを使って、そこから一般法則を導き出し、そして、その一般法則を使って全体に応用するというのがひとつの流れとして確立していました。つまり帰納法でモデルを作成し、そのモデルを使って今後どうなるのかを演繹的に予測するわけです。こうした処理を行うための基礎的な素養のひとつが統計学でした。

 テレビの視聴率調査や販売数量の予測など、世の中で使われている調査や指標のほとんどが、こうした手法で成り立っています。

 ところがAIがビッグデータを処理できるようになると、データの中身などを吟味しなくても、とりあえずコンピュータに放り込むというやり方が一般的になってきます。

 そこで何らかの有益な情報が得られれば、企業の現場ではとりあえず試してみるという方向に進むでしょう。最終的に何が起こっているのか的確に理解するためには、統計の専門知識が必要であることは言うまでもありませんが、現場における統計の重要性は下がらざるを得ません。

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情報システムもAIが開発してくれる

 もうひとつの意外な職業はプログラマーです。現時点では、Aが人間の言葉を理解して、それに沿った形でプログラムを自動的に生成するというところまでは至っていませんが、これはもはや時間の問題です。

 間もなく、人がどのようなシステムが欲しいのか説明するだけで、必要なコードを生成するAIが登場してくるでしょう。このような環境では、多くのプログラマーは不要となります。

 しかしながら統計の話と同様、本当の意味でプログラマーが要らなくなるわけではありません。単純な作業をこなすために存在していたプログラマーが余るだけで、深い知識を持った専門家に対するニーズはむしろ高まるはずです。

 AI化の本質は、ただ作業をするためだけに存在していたホワイトカラーの仕事を直撃するという部分にあります。

 これは職種を問いませんから、あらゆる業界で人手が余ることになります。しかし、その分野に関する深い洞察力を持った人材へのニーズはなくなりませんから、厳密な意味で職業がなくなることはありません。

 つまりAI時代においては、職業がなくなるのではなく、会社で必要とされる社員の数が少なくなり、一部の社員の仕事が失われてしまうのです。その意味では職業がなくなるより残酷な話といってよいでしょう。