加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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日本でコネ入社が批判される理由

 

 半年ほど前、タレントのみのもんた氏が、次男を日本テレビにコネ入社させたと発言したことで、コネ入社に対する批判が巻き起こりました。岩波書店が社員などからの紹介がないと入社試験を受けられないようにすると発表して批判されたこともありました。

 みの氏の次男については、スキャンダルを起こした張本人ですので、コネ入社そのものよりも、彼が行った行為に対する批判の方が大きいわけですが、やはり、日本ではコネに対する批判は根強いと考えてよいでしょう。

圧倒的なコネ社会である米国でコネが批判されない理由
 コネに対する批判が激しいということは、コネが横行していることの裏返しともいえます。マスコミ業界にコネ入社が多いことは誰でも知っている事実ですし、マスコミに限らず、どこの会社にも一定のコネ入社枠が存在することは多くの人が認めているところでしょう。

 では、なぜこれほどにコネ入社が批判されるのかというと、日本ではいわゆる一流大企業に入ることができた人と、そうでない人の間には、極めて大きな格差が生じているからだと考えられます。

 日本では、転職市場が十分に整備されていませんから、最初に入った会社で人生のほとんどが決まってしまうという面が多分にあります。
 こうなってくると一流企業の社員であることは一種の特権となってしまいます。特権的な立場がコネで獲得できたということになると、多くの人の反感を買うことになるわけです。

 米国は日本とは比較にならないレベルのコネ社会です。そもそも米国には、日本のような新卒一括採用という文化がありません。一部の企業を除けば、学校を卒業すると、それぞれがツテをたどって紹介を受け、面接を受けて会社に入社していきます。

 一方、転職も激しく、皆が同じ会社にずっといるわけではありません。いわゆる一流企業に入った人でも、会社の業績が傾いたり、本人が実績を上げられないとクビになってしまいます。新卒で一流企業に入ったことは、あまり特権とは思われないわけです。

 このような背景から、日本よりもコネが重要でありながらも、社会的にはほとんどバッシングの対象にはなっていません。むしろコネ作りも、本人の実力のうちとみなす風潮もあるようです。

kone

終身雇用制度は日本の伝統ではない
 コネを使って美味しい思いをしている人を見た時、フェアではないと考える人が多ければ、それほどコネが横行することはないのですが、逆に自分もそうした恩恵を受けたいと考える人が多いと、コネが横行することになります。

 そうなってしまうかどうかは、やはり社会の中にどれほどの機会が存在するのかで決まってくると考えられます。社会にたくさんの機会が存在していれば、コネを使っていい会社に入った人をうらやましがったり、批判するよりも、さっさと新しいチャンスを見つけた方が合理的です。

 そう考える人が増えてくれば、結果的にコネに頼る人が少なくなり、コネはもはや特権ではなくなってしまいます。しかしチャンスが乏しい社会では、限られた特権的立場に多くの人が群がりますから、コネがなくなるどころか、多くの人が、何とかコネを使っていい思いをしようと必死になるわけです。

 終身雇用制度を無理に維持しようとすると、チャンスが乏しくなり、こうしたコネが横行する息苦しい社会になってしまいます。

 終身雇用制度は、日本の伝統だと思っている人がいますがそうではありません。これは戦争中に国家総動員体制によって人為的に作られたもので、それより前は、完全な自由マーケットでした。

 日本は先進国ですから、本来であれば、乏しいリソースを奪い合う必要はないはずです。私たちは、どこかの会社をクビになっても、すぐにまた別の仕事が見つかるような、よりオープンな社会を目指していくべきでしょう。

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