加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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モノ作りのグローバル企業、米GEが金融部門売却で本業回帰

 

 全世界的に製造業を展開する米ゼネラル・エレクトリック社(GE)は2015年4月10日、同社の金融部門を事実上売却し、製造業に回帰することを明らかにしました。同社は金融事業の大幅な縮小を掲げていましたが、今回の売却によって本業回帰が一段と進むことになります。

製造業が金融部門を持つことは不自然ではないが・・・
 売却するのは金融部門が保有する約265億ドル(約3兆1800億円)の不動産。米投資会社ブラックストーンなどがこれを取得します。

 同社は巨大な金融部門を抱えており、大手銀行に匹敵する金融資産を保有していました。製造業は設備投資に巨額の資金が必要となるほか、商品が高額であることから、顧客の資金調達を支援する必要もあります。

 GEは発電用タービンやジェットエンジンなど大型の機器を製造する会社ですから、大規模な金融部門を持っていることは特に不思議なことではありません。トヨタも米国有数の金融会社を抱えており、顧客に対する自動車ローンを提供しています。

 ところが、GEの金融部門は本業の支援を超えて大幅に事業を拡大しており、リーマンショックでは、結果的にGE全体の利益率を押し下げる結果となってしまいました。

 GEの本業である製造業は、現在、絶好調であり、同社としては、自社の資金調達に関連する部門以外は外部に売却し、本業に集中した方が得策と判断したようです。

gehogyokaiki

米国経済が完全復活した証拠?
 今回の金融部門の売却は別な見方もできます。金融部門は景気が悪くなると不良債権の山になる可能性があり、こうした大型買収は、景気の先行きに楽観的でなければ実施することができません。

 このような大型の金融部門の売買が成立したということは、米国がリーマンショックから完全に立ち直り、完全に好景気のフェーズに入っていると市場が認識したことを示しています。

 GEは、その規模や市場シェアなどで日本メーカーを圧倒しています。今回の本業回帰によって、GEはグローバルなモノ作りの分野において、さらに立場を強固なものにしていくでしょう。
 残念ながら、GEの競合である三菱重工や日立製作所は、GEに大きく水をあけられた状態にあります。GEの本業回帰によって、その差はますます大きくなってくるかもしれません。

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