加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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グーグルとソフトバンクの提携から儲けのヒントを考える

 

 ネット企業の巨人、米グーグルの周辺が騒がしくなっています。日本のソフトバンクとグーグルが携帯電話の分野で提携するとの報道が出ているからなのですが、同社がソフトバンクと提携する狙いはどこにあるのでしょうか。

グーグルは、とにかく動画をたくさん見て欲しい
 米メディアは、グーグルとソフトバンクが、ソフトバンクの子会社で、米国の携帯電話会社スプリントの無線通信回線をグーグルが利用することについて合意したと報じています。同じく米国の携帯電話会社TモバイルUSとも同じような合意に達したとの報道も出ています。

 スプリント社は、ソフトバンクが2兆円以上の資金を投入して買収した会社で、米国の携帯電話市場では3番目に高いシェアを持っています。
 そしてTモバイルUSは、米当局の承認が得られず断念しましたが、やはりソフトバンクが巨額の資金を投入して買収しようとした会社です。
 TモバイルUSの市場シェアは4位となっており、この両社を一緒にすれば、シェア1位のAT&A、シェア2位のベライゾンと肩を並べる巨大携帯電話会社となります。

 この2社をめぐって、ソフトバンクは巨額の資金で買収を試み、グーグルは包括的な提携関係を結ぼうとしているわけですが、その理由は、今後のネット・ビジネスにおいて、携帯電話の通信速度が重要な役割を果たす可能性が高いからです。

 現在、ネット接続はスマホからというのが主流です。この傾向は今後も続く可能性が高く、ITサービス事業者にとっては、スマホ利用者からどのようにして儲けるのかという部分が収益をカギを握っています。

 グーグルは、8兆円近くを売り上げる巨大企業ですが、その収益のほとんどが、1クリック数十円のネット広告の積み上げです。つまり、利用者がたくさんの広告を見てくれれば、同社は儲かることになるわけです。

 同社が巨額の資金を投じて自動車の自動運転技術を開発しているのも、広告の閲覧時間を長くするためです。自動車を運転する必要がなければ、その時間の多くを人はネットの閲覧に費やすでしょう。それほどまでにネット閲覧の機会拡大は重要なのです。

 今後、ネットの世界では動画配信が爆発的に伸びてくることが予想されているのですが、広告も同様に動画対応が進んでくるはずです。グーグルとしては、利用者にたくさん動画の広告を見て欲しいということになります。

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目的は「ボトルネック」の解消
 しかしここで問題となってくるのが、通信回線の遅さです。これから動画配信が主流になってくるというのに、スマホは通信速度が遅く、現状では動画配信にあまり向いていません。
 このままでは、グーグルの収益は、携帯電話会社の通信速度に大きく依存してしまうことになります。ここで米国の有力な携帯電話会社となったソフトバンクと組むメリットがでてくるわけです。

 グーグルはこのほかにも、自前の光回線を使った高速ネット接続サービスの提供地域を次々に拡大していますが、その理由も、ソフトバンクとの提携と同じと考えてよいでしょう。とにかく高速回線を整備したいのです。

 一方ソフトバンクにとっても、この提携は大きなメリットがあります。同社は、中国の電子商取引大手アリババ・グループの大株主です。ネット・サービスの基本インフラであるグーグルと提携関係にあることは、非常に有利に働くでしょう。

 ソフトバンクは昨年、人工知能を搭載した人型ロボットPepperを商品化していますが、Pepperはネット接続して利用することが大前提となっています。
 ロボットのビジネスとネットは切っても切れない関係にあるわけですが、グーグルはよく知られているようにロボット開発では世界最先端をいく会社です。今後はPepperとの連携もあり得るかもしれません。

 今回の提携は、情報の「ボトルネック」を解消することを目的としています。ボトルネックとは、モノや情報の流れの中で、隘路(細くなって流れが滞る部分)となっている部分を指します。あらゆるビジネスがそうですが、ボトルネックを解消することができれば、大きな利益を得られることが多いのです。

 日本では今、若年層の労働力不足が深刻になっていますが、これもボトルネックのひとつといってよいでしょう。労働者を確保できないため、全体の生産力が落ちているからです。
 このような状況において、労働者を集めてくるサービスや、逆に労働者に頼らなくても業務を遂行できる製品やサービスを提供できれば、大きな利益となります。

 ボトルネックがどこにあり、それをどのようにして解消するのかというのは、ビジネスの世界では非常に重要な考え方です。こうした見方で世の中を眺めてみると、いろいろなところにビジネスチャンスが転がっていることが分かると思います。

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