加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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物価連動国債が個人に解禁された意味

 

 これまで機関投資家だけに販売されてきた物価連動国債がとうとう個人にも解禁となりました。この商品はわたしたちが今後の資産形成を考える上で非常に重要な商品ですので、ぜひ関心を持っておくべきです。

日本はインフレ経済に突入
 財務省は2014年5月13日、物価連動国債の個人保有を2015年1月から解禁すると発表しました。これまで機関投資家に限定していた物価連動債が個人でも買えるようになるわけです。

 物価連動債とは、物価に応じて元本が変動する国債のことを指します。普通の国債は100万円を投資すれば、100万円が返ってきます。その間に利子をもらえるので、その分得するわけです。しかし、戻ってくるのはあくまでも元本の100万円です。

 もし普通の国債を買っていた場合、インフレになると買った人は損してしまいます。10年後に物価が2倍になっていたら、100万円にはもはや50万円分の価値しかありません。しかし普通の国債の場合には、10年が満期であれば、10年後に100万円が返ってくるだけなのです。

 これに対して、物価連動債はインフレ率に合わせて元本が変化します。簡単に言ってしまえば、物価が2倍になれば、100万円ではなく200万円が償還されてくるわけです。物価連動債であれば、インフレになっても投資家は損をしませんから、安心して国債を買うことができます。

 日本は20年にわたってデフレが続いてきましたが、日銀の量的緩和策をきっかけにとうとうインフレに転換しました。どのくらいのペースで物価が上がるのかは定かではありませんが、少なくとも物価が下落する可能性は極めて低くなったと考えてよいでしょう。

 物価連動債の販売が解禁されたのは、日本がインフレ経済に入ったことの象徴なのですが、このインフレは、日本の財政当局にとって、実は諸刃の剣でもあるのです。

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 インフレになると日本政府の借金はどうなる?
 日本政府は1000兆円近い借金を抱えており、この債務をどうするのかが大問題になっています。もし日本が極端なインフレになれば、お金を借りている政府は得をすることになります。

 先ほどインフレになると国債を購入した投資家は損すると言いましたが、逆に国債を発行してお金を借りた政府は、物価が上がっても、最初の金額だけを返せばよいわけですから、実質的に借金が減り得をするわけです。

 しかし国債を持っていると損をするということになると、国債を売る人が増えてしまい、金利が上昇してしまいます。さらにひどくなると、国債を買う人が少なくなり、政府がスムーズに予算を組めなくなる可能性があります。また国債の下落が一気に進んだ場合、金融市場が大混乱となってしまうでしょう。

 財政当局としては、ゆっくりインフレになるのはよいことなのですが、インフレが急速に進むことはあまり望ましくありません。その意味で、物価連動債もあまり宣伝しすぎると、インフレのイメージが広がってしまいますから、その取り扱いは慎重にならざるを得ないのです。

 日本政府は2014年には約180兆円の国債を発行する予定ですが、このうち物価連動債は1兆2000億円程度となる予定で全体からするとごくわずかです。個人が買えるようになる2015年も状況はほぼ同じでしょう。その後、個人への販売枠がどの程度になるのかは、今のところ何ともいえません。

 少なくとも、この商品が個人に解禁になったということは、わたしたしもインフレに備える必要が出てきたということを意味しています。筆者は特にこの商品の購入をすすめるわけではありませんが、株式や不動産、外貨など、インフレに対応した資産運用について真剣に考え始める時期が来たことだけは間違いないようです。

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