加谷珪一の分かりやすい話

経済評論家 加谷珪一が分かりやすく「お金」、「経済」、「ビジネス」などについて解説します

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グーグルの決算から見る、今後のネット広告市場

 

 ネット検索最大手のグーグルに成長鈍化の兆しがでてきました。これまで同社はスマホ・シフトに伴うネット広告市場の拡大を背景に、順調な成長を続けてきたのですが、これが頭打ちになりそうな雰囲気になってきました。ネット広告市場はこの先、どうなっていくのでしょうか。

グーグルのビジネスは意外と単純
 グーグルは2014年10月16日、2014年7~9月期の決算を発表しました。同社の今期の売上高は、前年同期比20.1%増の165億2300万ドル(約1兆7564億円)、純利益は前年同期比5.3%減の28億1300万ドル(約2990億円)でした。売上高は順調に伸びましたが、開発費や販売管理費が増大し利益を圧迫した。

 利益が減ったとっても、低収益に苦しむ日本の大手企業と比較すれば、目もくらむような高収益体質なのですが、これまでの同社の基準からすると、やはり利益成長に限界が出てきた可能性は否定できません。

 グーグルは大変な技術力を持った会社であり、天才的な頭脳を持った人が、よく分からないことをしているというイメージがあります。実際、「超」のつく天才が多く在籍していて、一般人には想像もつかないような技術を開発しているのは事実ですが、同社のビジネスそのものは非常に単純です。

 同社の収益は、基本的にWebサイトに検索結果と一緒に表示される広告料金の積み重ねです。1クリック何十円という金額を積み上げ、何兆円もの売上げにしているわけです。

 したがって、同社の収益は、広告がクリックされる数とその単価に比例します。より価格の高い広告がたくさんクリックされれば、同社は儲かるわけです。

 今期のクリック数は前年同期比では17%の増加となりましたが、前期比では横ばいとなっています。またクリック単価については、前年同期比でマイナス2%だが、前期比では同レベルを維持しました。

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広告のクリック単価は下げ止まったが
 実は、同社はここ数年、クリック単価の下落に悩まされてきました。スマホなどモバイル広告ではPCに比べて単価が低くなりがちです。収益を生み出すレベルのブログサイトなどを運営している人は、直感的に分かると思いますが、スマホでは画面が小さく、単価の大きい目立つ広告は入れにくいというのが現実です。

 一方で、スマホの利用者は急拡大しているだけでなく、広告をクリックしてくれる人が多いという特徴があります。要するにネット広告は、スマホへのシフトが進むことで、薄利多売になっているわけです。

 実際、グーグルの収益もそれを反映していて、このところクリック単価は連続して下落していましたが、一方でクリック数は大幅に増加してきました。これによって、クリック単価の下落をクリック数の増加がカバーする形となり、同社は増収増益だったわけです。

 しかし、今回の決算あたりからその傾向が少し変わってきました。クリック単価はある一定水準で下げ止まりが確認されたのですが、同時にクリック数の伸びも鈍化してしまったのです。また、オペレーションのコストも大幅に増加しており、従来と同じような利益成長のシナリオを描くことが難しくなってきました。

 この結果は、ここ数年、続いてきたスマホ・シフトがほぼ収束してきたことを示しています。PCの時がそうでしたが、急拡大の時期を過ぎると、広告市場も一時は安定的に推移することになりました。その後、スマホという新しいデバイスが登場してきたことで、再びネット広告市場に動きが出てきたというのが、ここ数年の状態だったわけです。

 しばらくは、PC、スマホ、タブレットによる使い分け、という状況が続くでしょう。この先、ウェアラブル型の端末が普及する、あるいはロボットやAI(人工知能)を活用したより積極的な広告などが登場するといったブレークスルーがあれば、再び広告市場は大きく動き出すことになるでしょう。

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