経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

加谷珪一の投資教室 第3回

 ファンダメンタル分析は、企業の財務やビジネス・モデル、市場環境などから対象企業を定量的に分析する手法です。デイトレ-ディングなど短期的な取引を除き、ファンダメンタル分析はあらゆる投資の基礎となる手法ですから、しっかり押さえておく必要があります。

 ファンダメンタル分析は、対象企業の本質的な企業価値がいくらなのかという部分にすべて集約されます。
 株価から計算される実際の企業価値と、理論的な企業価値に乖離があれば、その差を埋めるように株価が動く可能性が高いと考えられます。将来の業績を分析し、利益が2倍になると予想されるのであれば、株価も2倍になる可能性が出てくるわけです。






 ファンダメンタル分析の基礎となるのは財務諸表です。

 財務諸表は、損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)の2種類に大別することができます。損益計算書は、売上げや利益といったフロー面に着目したものであり、これに対して貸借対照表は、資産や負債といったストック面に着目しています。

 これらの財務データから得られる数字を使って、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの指標を計算し、割安なのか割高なのかを評価していきます(PERやPBRについては、いずれ解説します)。将来、その企業が生み出す利益の予想から、現在の企業価値を逆算し、現実の株価との乖離を知る方法もあります。






 財務諸表の分析に慣れてくると、B/SとP/Lを見ただけで、その企業の人・モノ・金の流れが立体的に見えてくるようになります。

 銘柄選びの順番としては、まずマクロ経済の知識を使って全体の経済状況を理解し、大筋でどの程度の株価上昇が期待できるのかを考えます。続いて、ファンダメンタル分析を使って個別企業の業績推移などを予測していきます。
 その後は、より細かいファンダメンタル指標を使って割安、割高を評価し、最後はテクニカル指標を駆使して、投資しやすい銘柄を絞り込んでいくという順序が望ましいでしょう。

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