経済評論家 加谷珪一が分かりやすく経済について解説します

加谷珪一の投資教室 第2回

  ひとくちにマクロ経済といっても様々なのですが、投資家としてまず理解しておくべきなのはGDP(国内総生産)でしょう。GDPの数字は中長期的な視点に立つあらゆる投資手法の基礎となるものです。

 GDPは、生産側から見れば、その経済圏が生み出した付加価値の総額であり、支出した側から見れば、使った金額の総額のことを指します。

 これらの支出や生み出された付加価値は、給与などの形で労働の対価として分配されるか、もしくは利子や配当など資本の対価として分配されます。要するに価値がどのように生み出され、どのように支出され、分配されたのかを示すのがGDP統計です。






 

 経済全体が成長するということは、企業が生み出す付加価値も増えるということなので、名目GDP増えれば、株価もそれに応じて上昇していきます。まずこの事実をしっかりと認識してください。

 つまりGDPの伸びが小さい国は長期的に見て株価はあまり上昇しません。GDPの成長率が1%の国と2%の国では、1年間では大差がないように思えますが、複利で効いてきますから、10年後には極めて大きな違いとなって顕在化します。  しかも株価の上昇幅はGDPの成長率より圧倒的に大きいですから、1%の違いは実は致命的な水準にもなり得るのです。

 株で勝つためには伸びる国の企業に投資をするのが原則ですから、日本経済が伸びると思えば日本株に、米国経済が伸びると思えば米国株に投資するのが基本セオリーということになります。

 経済成長の動向を知る有力な手段の1つが金利です。長期金利は名目GDPの成長率に収束することが知られています。つまり長期金利が2%になっているということは、長期的にGDPの成長率も2%程度になる可能性が高いことを示しているわけです。






 

 財政が悪化して金利が上昇するという悪い金利上昇もありますが、一般的に経済が成長している国は、金利が上昇傾向を示します。これに対して将来の見通しが暗い国は金利は低くなる傾向が顕著です。

 こうした基礎的な情報を知った上で経済ニュースを見るのとそうでないのとでは大きな違いになります。どの銘柄がよいのかという話をする前に、どの国の経済が伸びているのかについて関心を払うことが重要でしょう。その上に投資というものが存在しています。
 
 外国株を買わないまでも、伸びている国でビジネスをしている日本企業を探すというのは銘柄選びの基本のひとつです。

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